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(写真=Thinkstock/Getty Images)

イールドカーブとは、縦軸を「債券の利回り」、横軸を「債券の残存期間(満期日までの期間)」として、両者の関係を表す曲線のことを言います。残存期間(満期日までの期間)の短い債券の利回りよりも残存期間(満期日までの期間)の長い債券の利回りの方が高い状態のことを「順イールド」と言い、イールドカーブは右上がりの曲線になります。将来的に金利が上昇すると思われており、短期金利よりも長期金利の方が高くなります。

逆に、残存期間の長い債券の利回りよりも残存期間の短い債券の利回りの方が高い状態のことを「逆イールド」と言い、イールドカーブは右下がりの曲線になります。将来的に金利が下落すると思われており、長期金利よりも短期金利の方が高くなります。

また、残存期間の短い債券の利回りと残存期間の長い債券の利回りの差が小さくなるとイールドカーブの曲線がなだらか(緩やかな傾斜)となり、このことを「イールドカーブのフラット化」と言います。

逆に、残存期間の短い債券の利回りと残存期間の長い債券の利回りの差が大きくなるとイールドカーブの傾きが急になります。このことを「イールドカーブのスティーブ化」と言います。このようにイールドカーブは債券市場の金利状況を示しており、債券投資の指標として利用されています。


イールドカーブにより予測できること

イールドカーブにより将来の景気動向、金融政策などがある程度予測できると言われています。まず景気動向についてですが、一般的には景気が将来的に上昇していくような状況では、イールドカーブのスティーブ化の現象、つまりイールドカーブの傾きが急になることが多いと言われています。

逆に、景気が将来的に減退していくような状況又は先行きが不透明な状況では、イールドカーブのフラット化の現象、つまりイールドカーブの曲線が緩やかな傾斜となることが多いと言われています。また、逆イールドは、景気減退の予兆と見ることもできます。

次に、金融政策との関係ですが、一般的に中央銀行の金融政策が引き締めの傾向にあるときには、逆イールドになる可能性が高いと言われています。この様なことからイールドカーブは景気動向や金融政策を予測するための指標としても利用されることがあります。

以上のように、イールドカーブから景気動向、金融政策をある程度予測することができますが、その理由については諸説があり、はっきりとは解明されていないと言われています。


イールドカーブの決定要因について

イルードカーブがどのようにして決まるかについては、代表的な3つの考え方があり、それぞれ「純粋期待仮説」「流動性プレミアム仮説」「市場分断仮説」と言われています。これらの考え方はまとめて「金利の期待構造理論」と呼ばれています。

まず「純粋期待仮説」については、市場にいる投資家の方たちが、短期金利が将来的に上がると予想すれば、長期金利は短期金利の上昇を見込んだ結果として短期金利よりも高くなる(順イールド)。逆に将来的に短期金利が低下すると予想されると、長期金利は短期金利より低くなる(逆イールド)。

つまり、長期金利については、将来の短期金利の期待値によって決定するという考え方です。次に「流動性プレミアム仮説」については、残存期間が長くなるほど流動性が低下し、リスクを被る可能性も高くなるため、その分リスクプレミアムが付いて、短期金利よりも高くなる(順イールド)。つまり、単純に長期金利は短期金利よりも高くなると言う考え方です。

最後に「市場分断仮説」については、市場には様々な投資家がいて、投資家は、資金の目的等によって債券の残存期間を選択していて独自の市場を形成しているとする考え方で、つまり債券市場は残存期間ごとに分断されていて、各残存期間の金利に対する需要によって決定されるとするものです。

実際の市場では、これら3つの考え方だけではなく、様々な考え方(仮説)によってイールドカーブが決定されると考えられていますが、場所、時期などの状況に応じて、適切な考え方(仮説)の組み合わせを見つける必要があります。


イールドカーブを利用できる場面について

イールドカーブは前述のとおり、将来の景気動向や金融政策の先行指標として活用できます。また、国債のイールドカーブは国債以外の債券や金利性商品の価格や利回りを評価する上での指標として利用することができます。

例えば、米国債、ドイツ国債など信用度の高い国債には、クレジットリスクがないと考えられているため、米国の社債等の国債以外の債券については、米国債よりも高い利回りで価格が決定されているとされています。償還まで5年の国債の利回りが5%で、同じ残存期間の社債の利回りが6.2%だとすれば、国債とこの社債の利回りの差(1.2%)が、社債のクレジットリスクの高さを表すことになります。

また、将来の金利動向の指標、残存期間が異なる債券の収益性の評価の指標としても利用することが出来ます。特に個人投資家にとっては、手間をかけずに将来を予測することができ、他の指標から分析した結果をイールドカーブによって裏付けることができます。インターネットでも国債のイールドカーブが一定時間毎に更新されているサイトもありますので、債券投資をされる際などには参考指標として活用できます。


イールドカーブについてのまとめ

イールドカーブについてまとめますと、イールドカーブとは縦軸を「債券の利回り」、横軸を「債券の残存期間(満期日までの期間)」として、長期・短期債券の金利を結んだ曲線のことで、ある時点の市場における平均的な債券利回りと残存期間の関係を表していると言えます。通常は上記「流動性プレミアム仮説」に基づき残存期間が長くなればなるほど金利が高くなるため、右上がりの曲線になります(順イールド)。

逆に、イールドカーブが右下がりの曲線になる場合(逆イールド)は、投資家が将来において景気が減退することに連動して金利が低下すると予測していることを意味し、景気が減退していく傾向があると考えられます。

また、イールドカーブの急な傾き(イールドカーブのスティーブ化)は、将来の景気が上昇していく傾向があると考えられ、市場の投資家が将来において金利が上昇していくと予測していることを意味します。

逆に、イールドカーブの曲線がなだらか(緩やかな傾斜)の場合(イールドカーブのフラット化)、将来の景気が減退していく傾向があると考えられ、市場の投資家が将来において金利が低下していくと予測していることを意味します。

このイールドカーブは、将来的な景気動向や金融政策を予測するための先行指標として利用することができます。また、国債のイールドカーブは、国債以外の債券の価格や利回りの評価をするための指標として利用できます。(ZUU online 編集部)

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