私たちが得る収入の中からは、所得税や住民税が差し引かれます。その所得によって計算式は異なるものの、個々の事情に関係なく平等に税金は支払われます。

ただし、必用不可欠なものを自己準備している場合には、所得からその費用を差し引き、所得を下げることができます。この差し引きを「所得控除」といい、結果的に節税効果を生むことができます。所得控除の面から、生命保険を利用して節税するメリットを紹介します。

生命保険商品の仕組み

Thinking
(写真=pathdoc/Shutterstock.com)

生命保険は契約者が亡くなった場合や、事故などによって重度の障害を負ってしまった時に遺族へ保険金として支払われるものです。その他にも、病気やケガで入院したときのための入院保障や収入保障など、生命保険は個人にとっても家庭にとっても必須なものとなっています。また、介護にかかる費用や老後の蓄えなどの準備も必要不可欠です。

将来を見越して自己準備をしていることなどを、所得税額を計算する際に汲み取り、生命保険や社会保険の保険料を所得から差し引く税制があります。これを「生命保険料控除制度」といいます。

生命保険料控除を受けるためには、サラリーマンであれば生命保険会社が発行する「生命保険料控除証明書」を勤務先に提出するだけで手続きが完了します(ただし、給与が年間2,000万円を超える場合には確定申告となります)。個人事業主の方や、副業を行っている方は確定申告によって手続することができます。青色申告は最高65万の基礎控除が受けられるため、節税を行ううえで有利といえます。

生命保険の控除額ルール

「生命保険料控除制度」は、その年に払い込んだ保険料に応じて、一定の金額が所得から差し引かれる制度です。課税所得を下げることで、所得税と住民税が軽減されます。

ひとことに生命保険料控除と言っても、新制度(2012年1月1日以降の契約)では、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つに分かれており、所得税に関しては各々上限4万円まで、合計12万円までの金額が所得から控除されます。

控除される金額は年間保険料によって計算式が異なります。年間保険料が2万円以下の場合は、その保険料全額が控除されます。2万円超4万円以下の場合、保険料×1/2+1万円が控除されます。4万円超8万円以下の場合、保険料×1/4+2万円が控除されます。8万円超の場合には一律4万円が控除額となります。

また、控除といっても、保険料そのままの金額が控除されるのではなく、保険料に応じて控除される金額が決まるので注意しましょう。

2011年12月31日以前に契約した保険契約に関しては、旧制度となり計算式が異なります。旧制度では、
旧生命保険料控除、旧個人年金保険料控除の2つです。

また、第三分野とされる医療保険の保険料も旧制度の計算式となります。年間保険料が2万5,000円以下の場合には保険料全額が控除されます。2万5,000円超5万円以下の場合、保険料×1/2+1万2,500円が控除されます。5万円超10万円以下の場合は、保険料×1/4+2万5,000円が控除されます。10万円超の場合には、一律5万円が控除額となります。

また、旧制度と新制度のどちらにも加入している場合には、控除額の合計が最大12万円(それぞれ4万円まで)となります。

課税所得を生命保険で下げるメリット

支払った生命保険料を申告することによって、所得を下げることができ、所得税と住民税が軽減されて節税になります。

例えば、所得金額が500万円の人で、生命保険料控除を利用しない場合の所得税は、500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円となります。その人が年間保険料12万円の生命保険料に加入している場合は、生命保険料控除4万円を受けることができ、所得金額が496万円になります。よって496万円×20%-42万7,500円=56万4,500円となります。つまり所得税金額が57万2,500円-56万4,500円=8,000円となり、生命保険料控除を利用すると、所得税が8,000円節税できたことになります。

「でも、その分余計に保険料を支払っていることになるから損だ」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。生命保険といっても、掛け捨て商品ばかりではなく貯蓄性のある商品もあるので、上手く活用することで、よりメリットを生むよう配分をしましょう。

所得控除の観点から保険を見直す

いくら所得税を安くしたいからといって、必要以上の保険に加入しても節税のメリットの上限は決まっているので無意味です。生命保険も介護保険、個人年金保険もそれぞれ年間保険料8万円で一律4万円しか控除されません。

生命保険料控除を有効活用し、節税効果を最大限に得るためには、まずは今加入している保険内容に重複している内容がないかどうかチェックしてみましょう。掛け捨て型と貯蓄型のバランスも確認して、保険のスリム化を目指しましょう。(提供: 保険見直しonline

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