不動産投資家は、株式・債券投資家ではなく、経営者の視線を持つべきである。

なぜならば、土地や建物という換金しにくい資産を持つため、今期はいくら儲かったという単純な売買の結果ではおさまらず、損益計算書や賃借対照表をもって投資の成果をはかるからだ。

経営の成績表となる決算書類は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書である。簿記はよくわからないと何となく敬遠していると、利益をふやす機会を逃すほか、投資を拡大するために必要不可欠な融資付けに苦労する。今回は不動産投資家のための第一歩として、損益計算書に注目する。

【参考記事】
不動産投資家のための「賃貸借対照表」 損益計算書よりも重要

1年間の儲けを明らかにする、損益計算書

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(写真=PIXTA)

損益計算書(Profit&Loss Statement、略してP/L)の最大の目的は、1年間の成績(儲けもしくは損)を明らかにすることだ。個人でアパートやマンションを経営している大家さんは、1月1日から12月31日までが一つの事業年度となる。

一般的形式の損益計算書と「不動産所得用の青色申告決算書」を比較する。

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一般的形式の損益計算書は、この先に法人税、住民税及び事業税額(つまり税金)、当期純利益と続き、この最終的な当期純利益が黒字かどうかを問われる。上場会社なら株の所有者や購入検討者はじめ、取引先の信用調査でも注視される。営業利益が黒字でも当期純利益が赤字であれば「赤字」という烙印(らくいん)を押される。

次に、営業利益が黒字なことは前提で、営業利益を売上で割った「営業利益率」が注目される。営業利益率が低い状態では売上が少し減少するとたちまち赤字になってしまう危険性が高く、経営の効率化が急務である。営業利益率は業種によって大きく異なる。

財務省「法人企業統計調査」平成27年度によれば、不動産業は営業利益率が最も高い11.6%、石油・石炭業は最も低く▲0.6%である。不動産に近い業種を見てみると、建設業は3.9%、物品賃貸業は5.5%である。不動産業は、他業種よりも人件費がかからず、利益率が高いと言える。

さて、営業利益率は「(売上高-売上原価・販管費)÷売上」であるから、営業利益率を上昇させるには、売上高を増やし、売上原価と販管費を削減すればよい。特に固定費は売上に係らずかかってくるため、削減効果は大きい。固定費の代表選手は人件費であり、企業がリストラを行う理由でもある。

不動産投資の損益計算書

不動産投資をする法人や個人事業主も赤字は許されないのだろうか。否である。節税のためにあえて赤字にしているならば問題はない。一番評価が気になる金融機関の融資においても、赤字の理由が明解ならば大きな問題はないと言い切る担当者もいる。

不動産投資ならではの損益計算書の注目点は何だろうか。

まず、売上=家賃収入である。一般の事業では爆発的に売上が伸びることもあるが、不動産は全物件の満室稼働が天井である。

一方、一般の事業では競合や流行などの要因で一気に売上が減ってしまうこともあるが、不動産はよほどの事故がない限り、一気に半分以上の入居者が退去してしまうことはない。

しかし、融資で不動産を購入している場合は、毎月の返済額は変わらないため、空室が収支とキャッシュフローを圧迫してくる。例えば、フルローンで購入している場合、空室率が20%を超え、変動金利が4%に上昇すると投資が破たんする可能性が出てくる。

また更新時の家賃交渉で家賃6万円の部屋で3000円値下げすると年間3.6万円の売上減少だが、値下げを断って空室期間が3カ月あれば18万円もの売上減少である。目標の満室想定の家賃収入と、空室期間の家賃損失から目をそむけてはならない。

次に、減価償却費と融資返済額である。減価償却費は出費を伴わずに費用となるが、借入金の返済額は出費を伴うが費用にならないため損益計算書に登場しない。減価償却費が返済額よりも少ない場合は、損益計算書では黒字でもキャッシュフローが回らず黒字倒産の可能性があるので注意を要する。

なお販管費の削減という点では、家賃5%などの外注管理費をあげる人もいる。自主管理に要する時間とスキルがある人にとっては一案だ。

しかし、たとえ10%の管理費でも、稼働率95%以上を保持してくれる管理会社もあることから一概には言えない。このほか、退去時のリフォームについては、自主施工も含めて大きなコスト削減の可能性を秘めている。いずれにしろ、損益計算書をじっくり読むことは、経営改善=不動産投資の成功につながっている。(ZUU online 編集部)

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