BS/PL,損益計算書,不動産投資,貸借対照表
(写真=PIXTA)

損益計算書の実用例

【第1回】では財務諸表の基本を学習し、【第2回】では損益計算書の利益について学習した。これらのコンテンツで損益計算書の基本的な概要について把握したわけだが、今回はそこから一歩踏み進めて損益計算書の実用例を紹介する。

不動産投資をベースに解説していくため、損益計算書を理解する上でも、不動産投資を行う上でもメリットのある内容となるだろう。

1年間の儲けを明らかにする、損益計算書

損益計算書(Profit&Loss Statement、略してP/L)の最大の目的は、1年間の成績(儲けもしくは損)を明らかにすることだ。個人でアパートやマンションを経営している大家さんは、1月1日から12月31日までが一つの事業年度となる。

一般的形式の損益計算書と「不動産所得用の青色申告決算書」を比較する。 ※ここに表を挿入

一般的形式の損益計算書は、この先に法人税、住民税及び事業税額(つまり税金)、当期純利益と続き、この最終的な当期純利益が黒字かどうかを問われる。上場会社なら株の所有者や購入検討者はじめ、取引先の信用調査でも注視される。営業利益が黒字でも当期純利益が赤字であれば「赤字」という烙印(らくいん)を押される。

次に、営業利益が黒字なことは前提で、営業利益を売上で割った「営業利益率」が注目される。営業利益率が低い状態では売上が少し減少するとたちまち赤字になってしまう危険性が高く、経営の効率化が急務である。営業利益率は業種によって大きく異なる。

財務省「法人企業統計調査」平成29年度によれば、不動産業は営業利益率が最も高い13.2%、卸売業、小売業は最も低く1.7%である。不動産に近い業種を見てみると、建設業は4.2%、物品賃貸業は6.1%である。不動産業は、他業種よりも人件費がかからず、利益率が高いと言える。

さて、営業利益率は「(売上高-売上原価・販管費)÷売上」であるから、営業利益率を上昇させるには、売上高を増やし、売上原価と販管費を削減すればよい。特に固定費は売上に係らずかかってくるため、削減効果は大きい。固定費の代表選手は人件費であり、企業がリストラを行う理由でもある。

不動産投資の損益計算書