財務諸表,BS/PL,
(写真=PIXTA)

はじめに

適正に投資商品を選択するためには、企業の財務状況を正しく把握する力が必要だ。それが教養としてのファイナンス力である。より具体的には、「損益計算書」「貸借対照表」といった財務諸表の基本的な読み方、企業会計における管理会計と財務会計はどう違うのか、これらの基本を押さえておくと良い。

教養としてのファイナンス力では、上記のような項目について解説していく。

決算書には必須の書類

上場企業などが決算の際に発表するのが貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表である。この財務諸表を読み解くことで、利害関係者はその企業の経営状況を把握することができるのだ。

財務諸表は日本独自の制度ではない。日本だけでなく海外でも、基準などで多少の違いはあるが財務諸表は作成されており、海外の投資家などもこれら財務諸表を参考にして企業の経営状況を読み解いているのである。日本企業の中でも国際的な会計基準に基づいた決算発表を行なう企業が徐々に増えてきている。

上場企業でなくとも財務諸表は活用されており、これらを読めるようになるという事はその企業の経営状況を理解できるということである。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などが読めないということは企業の経営状況の良し悪しが全く自分では理解できないという事になってしまうため、ぜひとも基本ぐらいは読めるようになりたいところだ。

貸借対照表は、ある時点における企業の財政状態を表している一覧表

それでは貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書それぞれについて簡単に説明したいと思う。

まず貸借対照表とは、ある時点における企業の財政状態を表している一覧表のことである。貸借対照表は企業の資産に対して負債、資本を対照に表示することによって、企業の財務状態をわかりやすく表すものである。

もっと簡単に説明すると、ある一時点で企業が保有している資産が貸借対照表の左側に記載してあり、右側にはどうやってその資産を集めたのか(借金などの場合は負債、企業の利益や投資家から集めたお金は資本)が書かれている。企業が持っている資産はどういったものがどれだけで、それらをどうやって集めたかということが表されているのだ。貸借対照表をすることで、企業の安全性や手元流動性等様々な事柄を判断することができる。

損益計算書は一定期間の企業の収入と支出を対応表示したもの