アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁が年次総会会場の韓国・済州島で記者会見し、日米両国に「これからもドアを開き続ける」と加盟を歓迎する意向を改めて強調した。習近平・国家主席の経済外交「一帯一路」政策を資金面で支えるAIIBの残された課題は、日米両国の加盟問題である。
「一帯一路」経済外交の中国の出資率50%
AIIBは欧州から中国を結ぶシルクロード圏とアジア周辺国を結ぶ「一路一帯」にある国を主たる加盟国として誕生した。AIIBは最大の出資国である中国から英国、ドイツ、フランス、ロシア、インドなど創設メンバー57カ国で発足した。
AIIBは本店を北京に置き、総裁は中国人、出資額は1000億ドルの半分を中国が拠出し、25%はアジアから、残り25%はその他の地域からの出資だ。日米が主体となるアジア開発銀行(ADB)は、日米がそれぞれ15.65%であることと比較すると、AIIBに対する中国の出資比率は異常に高い。
ADBは理事会で最終的に融資案件を承認している。出資比率が高い国の議決権を減らし、途上国など比率の低い国の議決権を増やすことによって、出資比率が高い国が圧倒的に有利にならないよう議決権を調整している。AIIBではその点が不透明で、中国主導で運営される可能性がある。