「ピンク・タックス」 と呼ばれる女性用の関税をご存じだろうか?シャンプー、かみそり、クリーニングまで性別を問わず使用・利用する商品やサービスで、女性向けのものに課されている税金を指す。男性用の関税は「ブルー・タックス」だ。

このピンク・タックスが原因で、同じ商品やサービスでも女性は男性より平均7%多く代金を支払っているという事実は、欧米では「消費者社会でも、無意識のうちに男女格差が横行している」と受けとめられている一方、日本ではあらゆる分野で女性厚遇のサービスが提供されていることから、逆にその行き過ぎを指摘する意見も聞かれる。

女性に生まれると高くつく?制服ですら価格差あり

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

2015年にニューヨーク消費者行政局が実施した調査では、794個の商品に基づいて35種類の製品タイプの平均価格が算出された。製品タイプによって差異が見られるものの、例えば女の子の洋服は男の子の洋服より平均4%高く、女性の洋服は男性の洋服より平均8%も高い。

同じ小売店が販売している制服用のシンプルなポロシャツですら2ドル(約224円)の差があるということは、デザインや素材の差はあまり関係なさそうだ。

また同じメーカーの幼児用スクーターも、男の子向けのブルーは24.99ドル(約2801円)だが女の子向けのピンクは49ドル(約5493円)と大きな差が開く。

女性用のパーソナルケア商品(石鹸・シャンプー・日焼け止めクリームなど)は、13%も高くなる。

「女性の商品はより多くの労働を伴う」と売り手は反論

こうした「関税率における男女格差」は、2007年にマイケル・コーン氏が米連邦国際貿易裁判所を通して訴えかけた ことで世間に浮上した(CNBC調べ)。訴えは却下されたものの、議論は現在も続いている。

「女性の商品・サービスにはより多くの労働を伴う」というのが、売り手側の主張である。例えば散髪ひとつをとっても、男性よりも女性の方が美容師の労力を伴う。

一般的にドライクリーニングに利用するプレス機は男性用のシャツ向けに設計されているため、女性用のシャツは手作業になる。男女兼用のプレス機もあるが、一度にプレスできるシャツの量が少なくなるため、結局は時間と労力が余分にかかることになる。

そう説明されると確かに納得できる部分もある。労力も含めたコストを考慮した場合、ピンク・タックスは正論ということになるのだろうか。

ビーチ・ホリデーの関税差は21% 所得中央値は男性の8割

NPO法人ニューヨーク小売業協会(Retail Council of New York State)のテッド・ポトリクスCEOは、小売業者にとって女性が最大のターゲットである点を指摘している。

市場リサーチ、商品・サービス開発、トレンドへの対応、広告など、商品・サービスの流通にはコストがかかる。多くの企業は特に女性向けの広告にコストを惜しまないため、それが価格に反映されるというのだ。

英国の「ラグジュアラス・マガジン」 にも興味深い情報が掲載されている。ホリデー好きな英国人による2015年の海外渡航件数は657億(英国家統計局調査)にもおよぶ。2017年夏のホリデーに向け、日焼けクリームに5億2900万ポンド(約760億5933万円)、洋服に18億3200万ポンド(約2634億397万円)を費やすと予想されているが、ここでもピンク・タックスとブルー・タックスの差が21%という結果が出ている。

こちらの調査は浴室用品リテールであるシャワーズ・トゥ・ユーが女性754人、男性623人に、10日間のビーチ・ホリデー用という設定で購入するであろうアメニティー(シャンプー、石鹸など)の価格を質問したものだ。

日本では「女性厚遇」を指摘する声も

所得の中央値が男性の8割と言われているにも関わらず(米国労働統計局2014年調査)、 息抜きになるはずのホリデーですら女性の方がお金がかかるということだ。「コスト云々を考慮しても素直に納得できない」というのが、女性側の本音ではないだろうか。

以上はあくまで欧米における風潮であり、日本とは温度差があるかも知れない。日本では毎週のように映画のレディースデーがあり、女性は無料の飲み屋(相席屋)などがあったりと、「女性厚遇が行きすぎではないか」との意見がある。これは必ずしも男性側からだけでなく女性からも聞かれる。

美意識の高い女性が多いゆえに、化粧品や洋服を「必要経費」と見なす傾向もあるようだ。ピンク・タックスを問題視するか、しないかは、受けとめ方次第といったところだろうか。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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