米国の銀行で資本が過剰蓄積されていることから、投資で成長を促す目的で買収ブームが再来するのではないかとの見方が生まれている。

CNBCなどが報じたもの。資産に対する株主資本比率(総資本に対する株主資本の割合)は1938年と同じ水準となる約11%に達しているほか、1992年以来初めて全株式資本が現金投資されるという状況が過去4年にわたり続いている(連邦預金保険公社調査)。

大手34行がストレス・テストの基準を上回る好調ぶり

米国の銀行にこれほどまでの資本が余っている理由を、ラファティ・キャピタル・マーケッツのエクイティ・アナリスト、リチャード・ボックス氏 はふたつ挙げている。

2013年、15年、16年と過去最高記録の利益を上げたうえに、自己資本比率の強化や政府系証券などへの投資を政府に強要されたためだ。

その結果、6月に発表された年次ストレス・テストでは、大手34行すべてが基準を上回る快挙を成し遂げた。ストレス・テストは金融危機再発防止目的で導入された健全性審査で、深刻な景気後退に対して銀行が十分な資本を確保できるかどうかを試算する。

7回目となった今回のテストは、「失業率10%、住宅価格の暴落、EU圏の景気後退」という例年より深刻な想定で実施された(CNNより)。

米連邦準備理事会(FRB)は米銀行の好調ぶりを、自己資本比率の強増と、2008年のリーマンショック前後に発生した融資問題を処理してきた成果と述べた。

過剰資金の米銀行 利益・成長促進には買収が効果的?