最近、ワーク・ライフ・バランスという言葉が世間に浸透してきた。個人の自助努力というだけでなく、企業も積極的にワーク・ライフ・バランスのために新しい制度を作るなど、福利厚生を充実させている。

実際にワーク・ライフ・バランスが整ってくると、個人の仕事への満足度が上がり、かつ生産性も上がるようになってきて、企業による環境改善が進んでいるケースが少なくない。

ワークライフバランスとは

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(写真=A Lot Of People/Shutterstock.com)

そもそも、ワークライフバランスとはどういう意味を持つ言葉なのだろうか。「ワーク・ライフ・バランス推進の基本的方向」によれば、ワークライフバランスとは「仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自らが希望するバランスで展開できる状態」であるとされている。

つまり、仕事と家庭の両立だけではなく、ボランティアや社会貢献を含む多角的な個人活動のバランスをとることである。また、年齢やライフスタイルを考慮することもあるようだ。

いま、なぜワーク・ライフ・バランスが注目されているのか

ワーク・ライフ・バランスは、当初は個人が努力して残業を減らすといった基調が強かった。しかし、仕事以外の自己実現の場を持つようになった人々の生産性が向上したことにより、企業もワーク・ライフ・バランスに注目するようになっている。

昨今は、仕事とプライベートの比率を均等にするというのではなく、時期やライフステージを考慮するようになった。仕事を覚える時期などはワークを重視し、子育て期間中は男女ともにプライベートを重視するというように、個人が臨機応変に使い分けていく流れになってきている。

つまり、形式だけのバランスではなく、会社制度やチームワークの改善などを通じて、仕事を効率良く進めるための方策がとられるようになったのである。社員の仕事への満足度を高めることで、より高いパフォーマンスを企業側が求めるようになったとも言い換えられる。

さまざまな企業の取り組み

現在、さまざまな企業がワーク・ライフ・バランスの調整に取り組んでいる。例えば、マヨネーズで有名なキユーピー株式会社では、ワーク・ライフ・バランス自体を各人が検討する「わく☆きらの会」を組織して主体的なワーク・ライフ・バランスの創出を目指している。

当初キユーピーでは労働時間の把握や残業時間の削減に取り組んだが、社員からは、強制感への不満があがることが多かった。そこで、新たにプロジェクトチームを結成し、労働時間の短縮に伴って「なりたい自分」をイメージする機会をもうけた。個人が多角的に輝く「なりたい自分」を志向するようになり、結果としてプロジェクトチームの協力体制も重んじられるようになったそうだ。

また、ミライト・テクノロジーズのように、取得しにくい年次休暇の取得方法を多様化している企業もある。同社では、育児や介護といったライフイベントに対して、年次休暇を積み立てたり、連続して休暇を取得できたり、時間単位で取得したりすることも可能だ。休暇取得の選択肢を増やすことで、ワークライフバランスをとりやすくしている。

仕事と生活の調和を

最近は、働き方改革などと呼ばれて久しい。男女の別や未婚・既婚といった立場の違いを越えて、さまざまなワークスタイルが生まれてきている。遠隔地にいながらテレビ電話で会議に参加したり、企業によっては週休3日を採用したりするところも出てきた。週4日勤務を試行する企業もあり、今後働き方はさらに多様化する可能性が高い。

重要なのは、形だけの有給休暇取得ではない点だ。企業も、ワーク・ライフ・バランスの改善に努めることで、社員一人ひとりの生産性を高めるためにさまざまな策を講じている。今後、AIの活用などによってワーク・ライフ・バランスも個人の性格やパフォーマンス能力に応じて、より効率的にデザインされていくだろう。誰もがワーク・ライフ・バランスをとれる時代も遠くないといえる。(提供: 百計オンライン

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