日経平均予想レンジ19,800~20,200円

今週は、円高一服や日米主要企業の決算内容を好感し、日経平均は一時20,100円台を回復した。ただ、予想以上の業績の良さが先高期待に繋がっているものの、個別物色が中心となり、2万円を挟んだ膠着感の強い相場展開に推移した。

海外の焦点

米国では、2017年4-6月期決算がピークを迎える中、これまで堅調な業績が相次いでいることが史上最高値圏にある米株価を押し上げ、22,000ドル乗せの原動力となっている。調査会社トムソン・ロイターによると、米主要企業の4-6月期純利益は前年同期比10.8%増と2桁増益を見込んでいる。高値警戒感が強まっているが、米長期金利の低下が相場を支えていると捉えられる。

市場では、4-6月期GDPは前期比2.6%増と加速し、個人消費、設備投資が堅調だったことから、米経済への先行き安心感が広がっている。しかし、6月個人消費支出物価指数や7月ISM製造業景況指数など、軟調なインフレ指標でFRBの年内利上げ観測は大きく後退し、当面は景気が弱すぎず、強すぎずな状況から、緩やかな株高が続くとの見方が多い。

国内の焦点

安倍内閣の支持率が急落する中、8/3第3次安倍改造内閣が発足した。今回は閣僚経験者を手堅く要所に配した。政権浮揚へ安定と人心一新の両立を図り、引き続き経済再生を最優先に国民の安全と平和な暮らしに万全を期す、と改造の狙いを強調した。市場では、安定感を重視するあまり目新しさに欠ける点では、政権浮揚につながるかどうかは不透明との声も聞こえる。

8月の相場入りで、連続月初日足陽線は14カ月連続を記録した。

2012年からの8月相場を見ると、2015年だけは年初来高値圏から反落して調整局面を迎えたが、その他の年はもち合い相場から全て反騰相場に移行し、転換点を迎えている。例年8月は「月足陰線が多く冴えない」とされるが、結果的には絶好の買い場提供月となっている点は注目される。この「もち合い相場から反騰相場へ」の経験則に従えば、今月は鉄則が生きる可能性には期待しておきたい。

来週の株式相場

以上、来週は日米の決算発表が一巡し、手掛かり材料難から膠着感を強める相場展開となりそうだ。日経平均は、当面上値は6/20高値20,318円、下値は6/15安値19,755円付近でのレンジ内相場が想定され、テクニカル的にはブレイクされた方向にトレンドが発生すると考えられる。来週のレンジは、上値は7/11高値20,200円が意識され、下値は75日線の19,800円付近が目処となろう。

株式見通し8-4

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト