北米での競争激化が顕著にあらわれた第1四半期
トヨタが4日に発表した第1四半期(4-6月期)の営業利益は、前年同期比679億円減(10.6%減)の5743億円となりました。地域別にみると日本や欧州、中南米・オセアニア・アフリカ・中近東が増益となった一方で、北米とアジアが減益となっています。
特に足を引っ張ったのが北米で、アジアは為替変動の影響とインドネシアでの自動車ローンの規制強化などによる台数減などで217億円の営業減益となりましたが、北米は販売台数が71.5万台から72.3万台に増えたにも関わらず765億円の営業減益となっています。
この北米の減益のほとんどが販売奨励金の増加によるもので、新車販売が頭打ちとなっている北米市場での競争激化の影響が顕著にあらわれた格好です。たた、トヨタでは新型「カムリ」の投入などにより販売奨励金を今後抑制できるとみており、通期では第1四半期の倍程度の販売奨励金を見込んでいます。
トヨタは通期の営業利益の見通しをこれまでの1兆6000億円から1兆8500億円に上方修正しました。原価改善の努力や営業面の努力によるものもありますが、2500億円の上方修正のほとんどが為替の想定レートを円安方向(ドル円で105円から110円、ユーロ円で115円から125円)に見直したことによるものです。
為替の想定レートの見直しにより上方修正された営業利益の見通しですが、2兆円程度を見込んでいる市場のコンセンサスには届いていません。原価改善の努力や営業面の努力をさらに積み上げて市場のコンセンサスとのかい離をどこまで縮められるかが今後のポイントとなりそうです。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券
シニア・マーケットアナリスト
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