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1人あたり約845万円

国の借金は1071兆円−−日本は財政危機か? 国の借金を企業分析の観点から考える

2017年3月末で普通国債、借入金、短期政府証券などの借入金の合計は1071兆円。総務省発表の2017年7月1日現在の人口推計は1億2675人だから、国民1人あたり約845万円の借金を抱えていることになる。

しかし、単純にこの情報だけで「日本は財政危機」と断じてしまうのはあまりにも短絡的と言わざるを得ない。企業を分析する際には借金だけでなく、資産や収支も考慮に入れるのが当然のことだからだ。

国には資産があるが実際には465兆円の債務超過

財政破綻,借金
(写真=Stanislaw Mikulski/Shutterstock.com)

日本国にはたしかに1000兆円を超える莫大な借金がある。しかし、国には資産もあるのも事実であるため、資産も加味して日本の財政状況を考える必要がある。それが国のバランスシートだ。

現在発表されているバランスシートは2016年3月末のもので、それによると国には958兆円もの資産が存在している。バランスシート上には年金預り金などのいわゆる賞味の借金ではない負債も計上されているため、バランスシート上の負債は約1423兆円となっている。

国の貸借対照表を企業分析的にみると、国は負債のうち465兆円を赤字を埋めるために使用していることになる。このような状況を債務超過というが、一般的に銀行は債務超過が解消できない企業には融資を継続しない。ただ企業を融資によって延命させているだけになるためだ。
債務超過を解消するためには、黒字を出す必要がある。企業分析では債務超過の企業に融資を継続するかどうかの判断基準として、企業活動の収支の結果である損益計算書を見るのが常識だ。では国の収支はどのようになっているのだろうか。

国の収支の状況は?

内閣府の発表によると、ここ4年間の日本の収支の状況は以下の通りとなっている。

年 2014年/2015年/2016年/2017年
歳入 62.6/63.6/62.3/63.7(兆円)
歳出 98.8/98.2/96.7/97.6(兆円)
(うち国債費)22.2/22.5/22.8/23.6(兆円)
——————————————————
収支 △36.2/△34.6/△34.4/△33.9(兆円)

企業の損益計算書には、費用の欄に借金返済分は含まれていない。会計的に言えば、借金の返済は費用ではなく資産と負債の交換であるためだ。

しかし、上記の収支には国債費つまり借金返済分が毎年20兆円以上も含まれている。国債費抜きの賞味の収支の状況は以下のようになる。

 

年 2014年/2015年/2016年/2017年
歳入 62.6/63.6/62.3/63.7(兆円)
歳出 76.6/75.7/73.7/74(兆円)
——————————————————
収支 △14/△12.1/△11.6/△10.3(兆円)

これが企業の損益計算書基準で作成した国の収支の真の姿になる。この国債費なし収支の状況を基礎的財政収支=プライマリーバランスと言う。

毎年10兆円以上の赤字を計上しているものの、赤字幅は徐々に縮小しつつあることが分かり。
このように日本の財務状況を企業分析的にみると、465兆円の債務超過、約10兆円の赤字企業であると見ることができる。

企業再生のためには、この約10兆円の赤字を解消できれば、債務超過も徐々に解消していくことになるため、その企業は継続可能という判断ができるのだ。

国家が企業と異なる点は借り換え可能

また、国家財政が企業と比較して圧倒的に優位な点は借金を借り換えることができるという点だ。民間企業の借り換えは銀行が首を縦に振らない限りは不可能で、その審査は決して簡単ではない。

しかし、国は自信の信用を売りに債権を発行できるため、国家に信用がある間は何度でも借り換え可能になる。

すぐに収益を出さなくてもいずれ返していけばよいという点は、民間企業と比較して大きなメリットだ。

日本国が破たんしないために

日本国が破たんしないためには以下の2つの点が重要になる。

まず言うまでもなく「プライマリーバランス黒字化」だ。プライマリーバランスを黒字化できれば債務超過はこれ以上広がらないことになる。

とにかく日本は収支の状況を黒字化し、債務超過をこれ以上拡大させないということが、借金を増やさないためにも、対外的な信用を得るためにも重要になる。

そして「国債の暴落を防ぐ」ことも挙げられる。日本は毎年借金の返済を借金で行うための借換債というものを発行している。日本の借換債の発行額は近年およそ110兆円程度の金額だ。

例えば金利1%で発行した場合には年間1兆円以上の費用が利息として発生する。現在、日本は歴史的な低金利水準にあり、10年新発物国債の金利は2017年8月現在で0.07%となっている。

国債価格が下落して金利が上昇すれば、政府の利息負担が大きくなる。支払利息は企業の損益計算書では営業外費用に該当し、利息負担が大きくなれば収支に悪影響となり、プライマリーバランス黒字化が遠のいてしまう。

日本の借金額は確かに1,000兆円を超えているが、政府には資産もあり、その資産と負債には収支が影響する。

確かに日本は債務超過、赤字企業ではあるものの、ここ数年プライマリーバランスの赤字が減少していることを鑑みれば、借金の金額だけを捉えて危機だと叫ぶのは偏っているのではないだろうか。今後数年間の長い目で、日本国が黒字化できるのか注視する必要がある。(ZUU online編集部)

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