9月の総選挙を目前に控えたドイツ。4選を目指して出馬中のメルケル首相率いるCDU/CSU連合が、依然として最大の支持率を誇っている。

2月から4月にかけてマルティン・シュルツ氏が党首を務めるSPD(ドイツ社会民主党)の勢いが跳躍を見せたものの、選挙が近づくにつれメルケル首相の支持率が回復し、本選ではCDU/CSU連合が逃げ切るとの見方が強い。若年層でメルケル首相の支持率が過半数という点も興味深い。

ギリシャ救済、大量の移民受け入れで支持率を下げたメルケル首相

2005年にSPD(緑の党連合)を微差で打ち負かし、ドイツ初の女性首相となったメルケル首相は、3期連続で自国の首相を務めるかたわら、EU圏でも絶対的な権力を維持してきた。

雲行きが怪しくなり始めたのは、ギリシャ危機が訪れた2010年頃だろうか。ドイツは最後の最後まで公的資金の注入を拒絶していたにも関わらず、結果的には巨額の財政支援を受け持つ羽目に陥った。これを機にメルケル首相の支持率が、初めて過半数にまで低下する(ガーディアン紙2015年調査 )。

その後67%まで支持率を復活させるものの、EUにおける移民受け入れ問題が深刻化するに伴い、国民の反感が一気に噴き出すこととなる。

2015年だけでも100万人の移民に自国を開放したメルケル首相だが、翌年ベルリンのクリスマスマーケットでイスラム過激派組織によるテロが勃発。犯人の一人が難民申請者であった事実などが、「Free Movement(EU圏における移動の自由)」や寛大な移民受け入れ政策を掲げてきたメルケル首相を窮地に追いやる結果となった(CNN より)。

EUでキャリアを積んだ新首相候補シュルツ氏

そこで急速に勢いづいたのがSPDだ。17年1月、当時SPDの党首だったジグマール・ガブリエル7外務大臣が突然シュルツ氏に党首の座を譲り、出馬を辞退した。党首交代劇でそれまで20%前後だったSPDの支持率が、30%をまで跳ね上がる。

シュルツ党首は、国内で鍛え上げた典型的な政治家ではなく「欧州議会でキャリアを積んだ政治家」 である。がちがちの堅物というイメージからかけ離れた、親しみやすいキャラクターが国民だけではなく議会にも新鮮な風を吹き込んでいるようだ。

一方任期が12年を経過したメルケル首相は、様々な意味で新鮮さに欠ける。自国の経済を成長させてきたという点で高く評価されているものの、前述したように、国内で様々な不満が噴出し始めている感は否めない。

そうはいうものの、大半は今回もCDU/CSU連合の勝利を予想している。SPDの支持率も4月後半から急速に勢いを失い、8月現在は24%前後に落ち着いている。

「メルケル政権が国内・国外で、かつての絶対力を失った」との意見も多数聞かれるが、ドイツの世論調査機関フォルザ によると、支持率は現在も40%前後を保っている(テレグラフ紙より)。また同機関の6月の調査では、18歳から24歳の若年層の57%がメルケル首相を支持している点も興味深い(ガーディアン紙より )。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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