日経平均予想レンジ19,311~19,824円

今週は、北朝鮮をめぐる国際情勢の緊迫化への懸念が広がり波乱の展開となった。日経平均は週初4日続落から5/19以来19,500円を割り込んだが、米政府高官が北朝鮮に対して外交による解決を優先する考えを表明したことで、リスク回避の動きはひとまず落ち着き、19,700円台への自律反発を見せた。しかし、週末にはトランプ政治への不透明感や、バルセロナの車突入テロ発生で一気にリスク回避ムードが強まり、5/18以来3カ月ぶりの安値水準(19,433円)を付けた。

海外の焦点

米朝威嚇合戦の最中、米政治の不透明感などを背景に米国株は全面安となった。トランプ大統領の人種差別に対する認識に多方面から批判が強まる中、コーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任するとの観測が浮上。経済政策実施の後ずれが懸念されている。米経済の底堅さに支えられ高値圏にとどまっていた米株相場だが、市場では「米政治の混乱に警戒感を強めている。課題が山積みする米議会がまもなく再開されるが、トランプ氏は足場を固めなければならない時に、逆の事をしている」との声は強まっている。

一方、北朝鮮情勢では、ティラーソン国務長官とマティス国防長官による緊張緩和につながる言動により、金正恩朝鮮労働党委員長の「何らかの決定を下す前に米国の行動をもう少し見守る」との発言が伝わり、北朝鮮に対する警戒感が後退しつつある。ただ、21日からの米韓軍事演習が予定されており、演習に刺激された北朝鮮がミサイル発射に踏み切る可能性も否定しきれない。さらに、25日は先軍節(金正日総書記が先軍政治を始めた日)や9/9建国記念日を控え、市場にとっては北朝鮮に絡む緊張感から目を離せない状況が続きそうだ。

国内の焦点

14日、内閣府が発表した4-6月期GDPの伸び率は、前期比1.0%増、年率換算で実質4.0%増(予想2.5%増)と6四半期連続のプラス成長となった。プラス成長に寄与したのは内需で、民間最終消費が最も大きかった。4-6月期決算発表では、純利益が前年同期比33%増益に加え、上方修正が相次ぐなど好業績が確認された。足元の景気はしっかりな上、企業業績見通しも良好で、EPS1,415円(8/17)からしても、日経平均19,500円付近の割安感は顕著といえる。

来週の株式相場

以上、来週は米国政治や北朝鮮情勢など不透明な外部環境を見据え、レンジ切り下げから方向感を探る展開と捉えている。日経平均のレンジは上値は8/15高値19,824円が目処となり、下値は5/1窓埋め19,311円が意識される。

株式見通し8-18

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト