までさまざまな分野に役立てる「ウルトラファインバブル」が産業として本格化しそうだ。国が日本発の革新技術に位置付け、産学官連携で研究開発を強化する中、このほどISO(国際標準化機構)で用語が定義された。
東芝(6502・(2)、監理)が同技術による洗浄機能を搭載した業界初の家庭用洗濯機を投入するなど、実用化の動きが加速しつつある。関連銘柄に注目したい。
ウルトラファインバブル関連銘柄
微小な気泡を意味するファインバブルの中でも、視認できない1マイクロメートル(マイクロは百万分の一)未満の極めて細かい泡がウルトラファインバブル。マイナスの電荷を帯び、水中に漂うプラス電荷を帯びた物質を吸着する。また、内部の気体を圧縮し、液中に長期間残存する(浮いてこない)ことも大きな特徴だ。
1990年代にカキ養殖において、酸素を微細気泡化することで水質を浄化し活性化する働きが確認された。これを皮切りに、ファインバブルの持つ洗浄、殺菌、脱臭、帯電分離といった効果を化学や工業、ライフケアなど多くの分野に応用しようとする取り組みが広がった。
ISOの用語規格に続き、今後は国際標準化へ向けた作業が進められる。ファインバブルの発生装置やシステム、サービスを含めた市場規模については、2020年に国内で4300億円、世界では4.4兆円にまで拡大するとの予測もある(10年時点の推定世界市場は1260億円)。
東芝が7月に発売した縦型洗濯乾燥機は、ウルトラファインバブルを発生させることで衣類の汚れを落ちやすくしている。水産などの1次産業や工業分野にとどまらず、一般的な家電製品の領域にも応用され始めた格好だ。パナソニック(6752)やシャープ(6753・(2))も、ファインバブルに関連する特許を出願している。
制御機器メーカーのIDEC(6652)も、90年代から研究を重ねてきた。独自の加圧管路方式によるファインバブルの発生装置を手掛け、7月には新製品を上市した。小型品から大流量品まで取りそろえ、大学や企業の研究所といった顧客のニーズに広く対応する。
IDECの株価は、直近発表した今3月期第1四半期の好決算(連結営業利益15億円、前年同期比3.3倍)を刺激に急伸したが、潜在するファインバブル発生装置の成長力は相場に全く織り込まれていないとみられる。「今期から業績に本格寄与する」(IDECの経営管理部広報グループ)といい、巨大市場を取り込む構えだ。
12年に設立された業界団体のファインバブル産業会には、IDECのほか、パナソニックやシャープ、三菱重工業(7011)、資生堂(4911)、島津製作所(7701)、堀場製作所(6856)など多数の企業が名を連ねる。
コンタクトレンズメーカーのメニコン(7780)もその1社。ファインバブルを使った殺菌技術の研究などに取り組んでいるもよう。小型株では、微細気泡の発生装置で戸上電機製作所(6643・(2))、リックス(7525)、三相電機(6518・JQ)などにも注目したい。(8月16日株式新聞掲載記事)
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