終身雇用制が崩壊しつつあり、多くの企業において社員の出入りが激しくなってきていることは間違いないだろう。ベテラン社員を失うことは、業務における重要な知見と経験、さらには顧客までも失うことになりかねないため、企業にとっては大きなダメージだ。「従業員をむやみに辞めさせない」対策は、企業経営にとって重大なテーマなのだ。

今回は、会社の寿命を伸ばすために考えていかなくてはならない「社員満足度」をテーマに、経営者が何をすべきかについて考えてみたい。

残業規制と働き方改革は、企業の共通課題

(写真=wavebreakmedia/Shutterstock.com)
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残業問題は、以前から大きな課題として経営者に認識されてきたが、近年では社会問題化しつつあり、国もこれまで以上に厳しい罰則を添えた規制に乗り出そうとしている。労働人口減少により、根本的に「人が足りない」という構造問題を抱えているなか、「リソースが足りなければ残業すればいい」という安易な方針での経営は避けるべきだ。

はじめは影響を感じられないかもしれないが、中長期的に労働力を確保していくのが困難となり、いずれ企業を維持すること自体にも影響を及ぼすだろう。圧倒的に人が足りなくなるこれからは、社員をより一層大切にして離職率を下げる経営を行うことが経営者のメリットにも繋がるだろう。

従業員の多くに共通する退職理由

多くの企業において、「従業員の退職」は日常的に発生している。新卒を積極的に採用する大手企業であっても、3年を持たずに退職していく従業員の数は少なくはない。今や従業員の退職をくい止めるための施策を考えることは、企業規模の大小にかかわらず、共通の課題と言えるだろう。

表向きには、従業員の退職理由はさまざまであると言われるが、実質的には絞られてくるのではないだろうか。たとえば、「労働時間に不満」「待遇に対する不満」「上司との人間関係」「同僚との人間関係」「やりがいがなかった」などが考えられる。

組織内における人間関係と昇進や昇格、処遇などに対する不満はいつも上位に掲げられる問題だ。

社員の満足度を高める対策が企業の寿命を伸ばす

退職希望者を熱心に引き止めただけでは、何も解決しないだろう。やはり、健全な組織を形成し、維持するための努力を企業経営者が率先して行うことが重要なのだ。もちろん、全ての従業員の期待や欲求を100%満たす組織を作ることは不可能でも、従業員が満足する職場、会社というものを構築するための手段は複数存在する。

労働に対する満足度とは、必ずしも給与や肩書きで得られるものではない。やりがいや、会社から信頼されているということも、満足度には大きく寄与してくる。会社の寿命を伸ばすためには、こうした社員満足の部分にも気を配り、社内体制を確立することが必要なのだ。積極的な社員教育を実施することで、満足度を高めていく方法もあるだろう。

さらに、従業員の評価においても、その正当性が全社員に理解されるようなオープンな仕組みを導入する工夫が必要になる。

長寿企業では多くの社員が企業を愛し、活き活きと働いている姿が見られる。やはり「満足度の高い仕事ができている」という充実感が、そのような雰囲気を醸成しているのであろう。企業経営者はこうした点に敏感になり、組織運営を行うことが重要なのだ。

(提供: 百計オンライン

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