「女性専用車両」の復活導入案をめぐり、英国で政治的論争が巻き起こっている。

女性議員を中心とする反論派は、「性犯罪行為を行う側を厳しく取り締まらない限り、問題の解決にはならない」とし、専用の空間に女性を“隔離する”女性専用車両は「性犯罪を当たり前の行為だと容認する」と断固拒否の構えだ。

英国は女性専用車両の導入が早過ぎた?30年前に廃止に

性差別,女性専用車両,政治
(写真=Thinkstock/Getty Images)

英国では女性専用車両をかなり早い時期に導入していた。英国初の地下鉄を開設したメトロポリタン鉄道によって1874年に導入されたが利用者が少なく、1977年に英国鉄道が廃止を決定した(ハフィントン・ポスト 英国版より)。

しかし地下鉄利用者の増加やコスト削減に伴う警備員の減少から、「地下鉄利用が危険でストレスの多い環境へと悪化している」と、TSSA(輸送・旅行産業労働組合) の書記長、マニュエル・コーツ氏は懸念を示している。

BBCが7月に実施した調査では、16年から17年にかけて列車内での性犯罪の被害者は1448人。12年と比較すると2倍以上に増えている。

こうした犯罪の増加を背景に2015年、ジェレミー・コービン労働党党首が、性犯罪対策の一案として「女性専用車両の復活を検討すべき」と言及。それが議論に火をつけることとなった。

「女性専用車両」をめぐる男女の見解の差、労働党内で意見が衝突

コービン労働党首の提案は女性議員を中心に社会的非難の的となり、一旦立ち消えとなったものの、17年に入り影の大臣、クリス・ウィリアムソン労働党議員 が同様の提案をしたことで再浮上した。

意外なことに反対派の中心となっているのは、同じ労働党の女性議員たちだ。女性専用車両を保護目的ではなく、「女性を隔離する行為」と性差別と見なしており、「問題の根底は性犯罪におよぶ側にある」と主張している。

また女性専用車両を利用しなかった女性が性犯罪の被害を受けた場合、「専用車両に乗らなかった本人が悪い」といった非難も生まれるのではないかとの懸念も指摘されている。治安の良くない地域を露出の多い服装で歩いていた女性が襲われたといったケースなどで、「自己責任」が問われるのと同じ感覚だろう。

女性専用車両が定着している日本やメキシコ、インド、ブラジル、エジプトなどでは、「女性のみが優先されている」などという男性の不満も挙がっているようだが、この点についてはステラ・クリーシー労働党議員が的を得た意見をTwitter に寄せている。

「女性にとってのみ安全な車両ではなく、乗客全員が安心して利用できる環境創りを目指すべき」――まさにその通りである。

ハフィントン・ポスト英国版の世論調査では、78%の女性が女性専用車両の導入に反対している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)