物価2%の達成に必要なことは何か?

今後、消費者物価2%の上昇率を達成するためには、まずデフレ脱却が必要になります。これは2014年7月25日の甘利経済再生大臣の会見で「出口戦略を語るのは時期尚早」とし、「まだデフレ脱却宣言をしていない」と言っていることからも明らかです。ただし日銀は7月15日の日銀金融政策決定会合にて「当面の金融政策は現状維持」と決めています。そのため「2014年度内の追加緩和の可能性は低い」という予想になっており、日本経済は緩やかに回復していくと予想されています。

ただし一部では消費税増税の影響により消費者物価が落ちると考えられていて、その時には「追加緩和も必要」と予想しています。けれども、黒田総裁はこの不安を一蹴し、「消費者物価は1%を割らない」としています。そのため、日銀はデフレ脱却をするために「追加緩和をする可能性は低く、現状の金融政策を維持していく」と見られています。それでも、日銀の強気な姿勢と反して、市場は「追加緩和の可能性」を予想しているのが現状となります。


10月の追加緩和の予想が最多

多くの民間エコノミストは「追加緩和は2014年10月」に行われると予想しています。もともと2014年の追加緩和の予想は4月と7月が予想されていました。しかし、消費税増税の市場への影響が少なかったことを受け、この予想は外れることとなりました。それでも9月以降に景気が悪化するという意見が強く残っており、その影響を受けて日銀が10月に「追加緩和」をすると予想しています。

けれども、その一方で民間エコノミストの中には「追加緩和の可能性はない」という予想もあります。こういった意見の理由としては、現在の景気は日銀の予想の範囲内のためこのまま順調にインフレの上昇率は維持されるとしているためです。このため「追加緩和」で注目すべきは10月の日銀金融政策決定会合になります。ただし、いずれにせよデフレを脱却した後に、日銀がインフレ目標を達成するためには「出口戦略」が必要になります。そのため「追加緩和」と合わせて「出口戦略」にも注目していく必要があるのです。


「出口戦略」で日本経済はどうなるか?

仮に日本経済がデフレを脱却したと仮定をしてみましょう。その場合、金融政策における「出口戦略」の最大の影響は長期金利の上昇にあります。つまり、企業の設備投資や個人の住宅投資がしにくくなるということです。そのため、デフレ脱却後はどのように金融緩和を縮小させていくかに注目をしていく必要があります。ただし、長期金利の上昇がすべて悪いものというわけではありません。注目すべきことは、日銀主導で長期金利をコントロール出来るかということです。

つまり、市場が長期金利の上昇によって好景気の訪れと感じるか、それとも不況の始まりと感じるかが重要になるのです。そして、長期金利が上昇したとしても、市場が好景気を期待すれば設備投資や住宅投資は活発になるのです。そのため「出口戦略」で注目すべきことは長期金利の上昇が日銀の予測内で動くかどうかということになります。この日銀の予想内で長期金利が動くかどうかに注目すれば、あなたは日本経済の将来を予想できるかもしれないのです。

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