外貨の需要・供給に任せて為替レートを自由に決める時代となった今、HSBCが中央銀行の必要性に疑問を唱えているという。

中央銀行が「長引く超低金利政策からの脱出手段として、鈍化した政策金利そのものよりも通貨の変動で利上げの時期を見極めている」とし、「通貨市場が新たな中央銀行の役割を果たしている」との見解を示した。フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。

スウェーデンなど複数の低金利政策国が利上げ検討中?

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

HSBCは「政策立案者が利上げ方向に傾いているところへ、FX(外国為替証拠金取引)が初期の引き締めをもたらした」と、メモで指摘している。

最初に通貨で市場を試し、強化しながら利上げ方向に持ち込むというのは、非常に効果的な手段である。利上げに伴う市場への衝撃を最低限に抑えることも期待できる。

首尾よくいけば、中央銀行は利上げに踏みきるというわけだ。HSBCはこうした行為をFX市場への直接介入とは見なしていないものの、「通貨に卑劣な行為をさせていることになる」と非難している。

この手法を用い、前金融危機以降慢性化していた低金利環境から先行して脱出を図ったのは米国だ。現在はEUが同様の「テスト」を実施しているとし、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、ノルウェーなど、低金利政策国がそれに続くとの予想だ。

HSBCは2018年中旬には、豪ドルが0.9ドル(前回予想0.75ドル)、ニュージーランド・ドルが0.78ドル(0.08ドル増)、カナダ・ドルが1.25ドル(0.04ドル増)に値を上げていると見込んでいる。

2017年現在のオーストラリアの政策金利は1.50%、ニュージーランドは1.75%、カナダは1%、スウェーデンとノルウェーは共にマイナス0.5%だ。

ユーロ高を懸念するECBの利上げ時期については賛否両論

デフレが解消し、経済が回復基調にあるとされるEUだが、欧州中央銀行(ECB)は依然として低金利の継続を支持しており、利上げは段階的に行うとの意向を維持している。

しかし最近のユーロ高が輸出、インフレ、ユーロ経済の回復にネガティブな影響を与える可能性への懸念も内部で高まっていると、ドラギ総裁も認めている(エクスプレス紙より )。ドラギECB総裁は、年内の継続を予定している現状の緩和政策について、今秋には議論すると述べている。また利上げに踏みきった場合も、段階的に行うとの意向を維持している。

これに対し一部の専門家からは「もっと早期に利上げに踏みきっておくべきだった」という指摘も挙がっているが、BBAVは「ECBは利上げに関して慎重な姿勢で挑むべき」とコメントしている(CNBCより)。

国際決済銀行は各国の中央銀行に利上げに踏みきるよう、要請している。

こうした例を見るとHSBCの指摘しているように、金利政策が通貨の変動に想像以上に左右されている事実は否定できない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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