個人型確定拠出年金(iDeCo)は、「個人型」という名称がついているものの、会社員の場合は、勤務先にも所定事項の記載・押印をしてもらう必要がある。ここでは、その目的や、担当部署に依頼する際に知っておきたいポイントを説明しよう。

上司には相談してはいけない!?

(写真=Plus69/Shutterstock.com)
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会社員のiDeCoの申込書類の中には、「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」という書類が含まれている。申込書類が自宅に届いたら、まず、この書類を勤務先の担当部署に持参しよう。

この依頼を真っ先に行う理由としては、事務部門は締切のあるさまざまな業務に追われており、忙しい時期に依頼してしまうと、後回しにされる可能性もあるためだ。ここはお互いのため、時間と気持ちに余裕を持って依頼しよう。

もし、依頼する部署が分からない場合は、まずは「総務部」や「人事部」など、給与や年末調整の担当部署に問い合わせてみるといいだろう。事務そのものをアウトソーシングしている企業もあるが、担当者が社内に常駐している場合もあるし、いなくても問合せ用の電話番号やメールアドレスがあるはずだ。

なお、営業部門などの部長や支店長などに相談することは、たとえ直属の上司であっても、あまりおすすめしない。事務的なことは、上司といえども知らない可能性があるためだ。事務の担当部門に直接尋ねる方がスムーズである。

iDeCoの加入における「事業主の証明」とは

勤務先に記入してもらう「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」は、大きく2つの目的がある。一つは「事業所登録」を申請することであり、もう一つは第2号加入者に係る「事業主の証明」をすることだ。

1つめの目的である「事業所登録」だが、勤務先が国民年金基金連合会で事業所登録を行っていない場合は、最初に「事業所登録」を申請する必要がある。この手続きは、勤務先の中でiDeCoの加入を希望する最初の従業員が持参してくる「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」に所定の事項を記入すれば、そのまま事業所登録の申請書となる。登録手続きが完了すると、国民年金基金連合会から登録事業所番号が通知されてくるため、以後は、当該番号を使って手続きを行うこととなる。

なお、最初の従業員の「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」の登録事業所番号は空欄のままで構わない。ただし、その際は「登録がない」あるいは「わからない」にチェックを付けなければならない。チェックを付け忘れただけでも書類不備として返送されてしまう可能性があるため、事前によく確認しておきたい。

2つめの目的である「事業主の証明」とは、iDeCoへの加入を希望する従業員について、「60歳未満の厚生年金保険の被保険者か」「勤務先に企業年金があるか」「企業年金の種類は何か(iDeCoと併用ができるか)」等を事業主が証明するものである。会社員の場合、企業年金の有無や種類によって拠出限度額が異なるため、この確認はとても重要なものである。

記入時の注意点としては、従業員の加入資格の確認はフローチャートで選択するようになっているのだが、ここでもチェックをつけ忘れる例がときどきあるようだ。勤務先の担当者に書類を記入してもらったら、自分でも記入漏れがないか再度確認しておきたい。

遠慮しなくていい!担当部署へ余裕を持って依頼しよう

「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」は、注意点は幾つかあるものの、記入そのものは決して難しくはない。総務・人事部門は書類作成に慣れているため、最初は戸惑っても、慣れると理解するのも早いだろう。iDeCoへの加入を希望する者は、遠慮せずに勤務先の担当部署へ証明書の記入・押印を依頼してほしい。

(提供: 確定拠出年金スタートクラブ

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