保険の中には国や自治体が運営する公的なものがあり、介護保険がそれに当てはまります。少子高齢化が深刻となるにつれて高齢者介護のニーズが高まり、昔と比べるとサービス内容が充実してきています。

介護保険は、将来必要となる可能性は決して少なくありません。若いうちに、介護保険の給付の違いや受けられるサービスについて知っておきましょう。

介護保険とは

kaigo
(写真=takkun/Shutterstock.com)

介護保険とは、介護が必要と認定された高齢者などの治療や介護費用を社会全体で負担する保険制度で、市区町村が運営を行っています。高齢化が深刻になり介護ニーズが増加したことを受け、2000年に介護保険制度が施行されたことが介護保険の始まりです。

従来の制度とは異なり、利用者がサービスの種類や事業を選定できる点や医療と福祉両方のサービスを総合的に利用できる点、利用者の負担金額が低い点など、高齢者により配慮された仕組みとなっています。介護保険では現金を支給するのではなく、利用した介護や福祉サービスの費用の8~9割を市区町村が支払うという仕組みです。ただし、支給限度額を超えた分は自己負担となります。

加入要件として、65歳以上の第1号被保険者、もしくは40~64歳までの医療保険加入者が対象となっています。それぞれ受給要件を満たした場合にのみ、介護保険のサービスを利用できます。要介護認定区分は要支援1~2、要介護1~5の7段階に分けられていて、受けられるサービスの限度額が異なります。

実際に介護サービスを受ける際はケアマネージャーと相談してプランを作ることになりますが、支給限度額を超えないように調整する必要があります。

介護保険給付の種類

介護保険給付は、利用者が受けた介護サービスの費用を、市区町村が代わりに負担する形で支給されます。軽度者が転倒や骨折、関節疾患などにより生活機能が低下し、要支援や要介護1の認定を受ける事例が増加したことを受けたことから、介護保険制度では介護サービスの前段階として「介護予防サービス」を提供することで、軽度者の状態維持や改善を行っています。

介護保険給付は大きく分けて「予防給付」、「介護給付」、「市町村特別給付」の3種類があります。予防給付は、日常生活に支援が必要と判断された人に給付され、要支援1および2と認定された人が対象となります。介護給付は、日常生活に介護が必要と判断された人に給付され、要介護1~5と認定された人が対象となります。市町村特別給付は、介護保険法に定められていないサービスを市町村が条例に基づいて提供するもので、各自治体によってサービス内容は異なります。

利用できるサービス

予防給付では、「介護予防訪問看護」、「介護予防通所リハビリ」、「介護予防居宅療養管理指導」などを受けることができます。そのほか「介護予防小規模多機能型居宅介護」、「介護予防認知症対応型通所介護」など地域密着型の介護予防サービスもあります。

介護給付では、「特別養護老人ホーム」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設」といった施設サービスが提供されています。さらに「訪問介護」、「訪問看護」、「通所介護」、「短期入所」など、さまざまな居宅サービスも用意されています。地域密着型サービスを希望する人は以下の介護サービスを利用することも可能です。

・ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・ 小規模多機能型居宅介護
・ 夜間対応型訪問介護
・ 認知症対応型共同生活介護

市町村特別給付では、各自治体によりサービス内容が異なります。例えば、愛媛県東予市では要介護1~5の認定を受けている人を対象に紙おむつ購入費の支給サービスを用意しています。東京都中野区では短期入所サービス利用時の交通費の一部を支給するサービスを提供しています。

民間の介護保険の検討も!

たとえ高齢になって介護が必要になったとしても、介護保険を利用することができれば、豊富なサービス内容で生活を大きく支えてくれます。ただし、第1号被保険者の場合は65歳以上でなければ介護保険を利用することができません。

もし、65歳より前に要介護状態になったときの備えが必要ならば、民間の介護保険を利用する方法もあります。高齢になったときのことまでよく考え、若いうちから保険の知識を身につけておきましょう。(提供: 保険見直しonline

【オススメ記事 保険見直しonline】
更新期が来た時の保険の見直し方とは
生命保険を選ぶ際の「掛け捨て型」と「貯蓄型」の決め手とは
持病や手術歴がある場合の保険の見直し方
改正にともなう火災保険の見直し・比較のポイント
人生のビックイベント! 結婚・出産・離婚にまつわる保険の見直し方