「中国がICO廃止に続き、仮想通貨取引所も閉鎖する」との報道を受け、ビットコインの価格がさらに暴落した。 大手取引所HuobiやOkcoinの広報部は、「そのような通告は一切受けていない」と否定しており、通常通り運営している点を強調している。

9月1日には5000ドルに届く勢いだったビットコイン価格は、一連の報道を境に4319ドルまで急降下。9月12日現在は4300ドル台まで持ち直しているものの、一時は4100ドル台を記録した(コインデスク調査)。

監査委員会が60カ所の仮想通貨取引所の調査実施と報告書を要請?

ブルームバーグなど欧米メディアによると、取引所閉鎖は中国のニュースサイトCaixin(財新)が報じたものだ。中国人民銀行や中国銀行業監督管理委員会を含む) インターネット金融リスク防止チーム」の動きに詳しい匿名者」からの通告で、地方規制当局に廃止が書面通告されたという。

しかし詳細については明らかにされておらず、大手取引所も報道を否定していることから、少なくとも現時点では取引所を閉鎖する段階にまでは至っていないものかと推測される。

中国が9月に入りICO全面廃止を発表したことで、ICOだけではなく、仮想通貨自体の風向きが変わったのは事実だ。

CaixinはICO廃止が発表された際、「監査委員会は60カ所の仮想通貨取引所の調査を実施し、報告の提出を求めている」と報じた(pymnts.com より)。

注目が集まるICO廃止騒動の影響

果たして本当に取引所閉鎖はあり得るのだろうか。

中国政府はICOを「金融詐欺、ネズミ講」と見なし廃止を決定した。規制に準拠しない仮想通貨が同じく規制に準拠しないICOという手段で循環している現状を、法的に取り締まる目的だ。

米国、シンガポール、マレーシアなどでも、同様の懸念が高まっている。元々仮想通貨には、テロ資金調達を含む金融犯罪に利用されきたという歴史がある。そうした背景から、短期間で巨額の資金調達が可能なICOが、金融犯罪発生の危険性を高めるとの見解だ。

2014年~17年8 月末の期間のICOによる資金調達は1.8億ドルを突破(コインデスク調査 )。黙視するには境界線を越えている。特に今年後半から急激な伸びを示していたが、今回のICO廃止騒動の影響は避けられないだろう。

中国は2013年にも仮想通貨取引を一時禁止 にしている。この時も価格が一夜にして50%下落した。

今回のICO廃止や報道されているような仮想通貨取引所閉鎖が、規制環境が整うまでの一時的な動きであることを祈るばかりだ。

中国政府が独自の仮想通貨開発に着手している点も、規制環境強化に乗りだした一因かも知れない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

( FinTech online編集部

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