他のバイオベンチャーより期待が持てる?

スリー・ディー・マトリックスの再生医療は他のバイオベンチャーと比べて市場の期待が高まっております。と言うのも、同社の予想PERは21.57倍(9月3日現在)となっており、医療機器・材料メーカー、他のバイオベンチャー平均と比べても2倍以上上回っております。実績PBRも26.68倍(9月3日現在)と非常に高くなっています。これは、前述の歯槽骨再建材・粘膜隆起材の認可が遅れなければ計画通りに進行するのが分かっているためではないかと思われます。また、国を挙げて医療大国を目指している中、厚生労働省が申請から実用化までの期間を短縮しようとしているのも、今後の期待が見込まれる理由の1つです。2017年頃には創傷治癒材も実用化するため、更なる増益が見込まれます。再生医療に限らず、外科医療、DDSもバランスよく扱っているのも今後の成長を期待させます。

しかし、一方で、バイオベンチャーの場合は一般的に今後の期待から株価が実績以上に上昇する傾向があります。市場関係者の中には過熱感を意識する声も高まっておりますので高値づかみには注意が必要と言えるでしょう。


次の課題は海外進出

スリー・ディー・マトリックスの次の課題は海外進出です。一社では困難な場合(「国立がん研究センター」との「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」等の国内での共同開発もありますが)多くは海外と共同開発する必要があります。共同開発しないとしても海外企業との販売契約が進むかどうかが計画達成のカギとなるでしょう。日本では適用症例が少なくても世界全体を見渡せば症例数が増加します。スリー・ディー・マトリックスの再生医療に関しては、米国では5000億円以上、欧州でも4000億円以上の需要があります。

前述の吸収性局所止血材の件から分かる様に、海外の方が先に認可される可能性もあります。海外に関しては一部販売権を他社に高額で割り当てる考えもあります。既に同剤のインドネシアでの独占販売権を購入している他、海外での準備費用を大幅に増やしています。今の所、諸々の事情から米国を優先していますが、本当に力を入れているのは東南アジアの模様、ベトナム・フィリピン・タイ・オセアニアでの販売に向け、まずはシンガポールでの製品登録申請を行っています(東アジアは日本の後にする予定)。


今後のスリー・ディー・マトリックスに注目

再生医療の次はDDSです。前述の「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」では「自己組織化ペプチドA6Kを用いたDDS(仮称)」の開発が順調に進んでいます。早ければ2016年には開発が終わり、販売に向けて着実に動く様です(国立医療施設なので認可は早い)。バイオベンチャーの場合、新商品を開発すれば一気に売り上げが上昇します。スリー・ディー・マトリックスの様に研究段階が大きなウェイトを占める企業では、最初は殆ど売り上げがありませんが、この時期を乗り越えれば一気に有名企業と化します。

来期以降は100倍近い増収を発表する事例は生じないと思いますが、順調な右肩上がりの増収を予想しております。それには不祥事が起きない様に注意するのは勿論、需要に合った商品を開発するのが高成長を目指す上で重要になるはずです。

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