前週(9/19〜9/22)の東京為替市場で円は大幅続落、週末の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは112円02銭で終え、週間で1円30銭(1.2%)の円安となった。21日には約2ヶ月ぶりの円安となる112円72銭をつけた。
世界の金融市場は9月上旬、米朝関係緊迫化、米ハリケーン被害拡大による米財出増などを懸念し、リスクオフによるドル安、米長期債利回り低下、株安の傾向が続いた。9月8日にはNYダウは1万9700ドルまで売られ、米長期債利回りはトランプラリー以降最低となる2.01%まで下げ、ドルは対ユーロで1.2092ドルと2年8カ月ぶり、対円では107円32銭と10ヶ月ぶりの安値をつけた。
しかし、その日、主要3アセットが大きな下ヒゲをつけて反転しはじめ、北朝鮮建国記念日を無事通過、ハリケーン被害は予想を下回ったことで、市場は典型的なターンラウンド(トレンド変換)となり、リスクオフの巻き戻しが市場を牽引することになった。円安を好感して日本株も急騰、19日には2万円台を回復し、3日連続で年初来高値を更新した。
今年の米国の金融政策を占うものとして注目された20日のFOMCでは、メンバーの金利予想(ドット・チャート)において、年内1回、来年3回利上げが適切との見方が主流であることが判った。利上げペースが回復するとの期待で米長期債利回りが2.29%まで跳ね上がり、日米金利差拡大の思惑からドル円はNY市場で約2ヵ月ぶりの水準となる112円51銭を付けた。
FOMC以降、FF金利先物によるFRBが12月に利上げする確率は7割を超えてきた。9月初には一時3割まで低下していたが、景気指標が持ち直し始め、物価指標が堅調になってきたため前々週には5割まであがっていた。
月末にも、法人減税を含む米税制改革が合意に達するとの見方もあり、当面は米景気の堅調、利上げペース回復を前提としたドル高・円安が続きそうだ。
前週(9/19〜9/22)の振り返り
19日の東京為替市場で円は6日続落、17時の東京インターバンクでの引け値は111円71銭と先週末比99銭の円安となった。
日本の連休中に、米長期金利が上昇し、円安が進んだ。NYダウも7連騰、5日連続の史上最高値更新でリスクオフムードが拡がった。ドル円は15日の110円72銭の引けからギャップアップして111円50銭で始まり、一時111円88銭をつけた。円安を好感して、日経平均は一時400円を超える上げとなり2万円を回復した。安倍内閣が解散総選挙に打って出るとの観測も株高・円安に寄与した。
20日の東京為替市場で円は7営業日ぶりに上昇、17時のレートは111円40銭と前日比31銭の円高となった。
ドル円は6連騰で4円ほど上げており、急ピッチな上昇に対する警戒感に加え、20日の米FOMC、21日の日銀金融政策決定会合を控えており、一旦利益確定が先行した。
21日の東京為替市場で円は反落、17時のレートは112円55銭と前日比1円15銭の大幅な円安となった。
注目の米FOMCでは、市場の予想通り金融政策据え置きと来月からの資産圧縮開始を発表した。ドットチャートではまだ年内1回、来年3回利上げが適切との見方が強かったため、FOMC前は2.23%だった米長期債利回りがFOMC後に2.29%まで跳ね上がり、日米金利差拡大の思惑からドル円は約2ヵ月ぶり水準となる112円51銭を付けた。
東京市場でも112円50銭を中心とする堅調な相場だった。昼に発表された日銀金融政策決定会合の結果は現状維持で市場の反応は限定的だった。
22日の東京為替市場で円は反騰、17時時点のドル円レートは112円02銭と前日比53銭の円高となった。
国連総会で米トランプ大統領が北朝鮮に挑発的な発言を行い、北朝鮮もそれに反抗するようなコメントを出したことで地政学リスクが再び意識され、有事の円高となった。ドル円は111円65銭まで下げる局面があり、日本株も一時100円近く下げていた。もっとも、NYダウの夜間取引がしっかりしていたことで日経平均が下げ幅を51円安まで縮小したため、ドル円も112円まで値を戻す展開となった。
先週の海外動向を振り返る
FOMCを通貨後、新規材料難で方向感が出づらい展開だった。ドル円もNY市場は112円05銭で引け、週間では約1円20銭の円安となったが、先週末の東京の17時のレートからはほとんど動きがなかった。 22日のNYダウは9ドル安と膠着した展開だった。
「9/25〜9/29」の為替展望
今週のドル円のメインシナリオは、111円60銭から114円50銭でのレンジを想定している。
注目の20日の米FOMCの金利予想(ドット・チャート)では、まだ年内1回、来年3回利上げが適切との見方が強かったため、米長期債利回りが2.29%まで跳ね上がり、日米金利差拡大の思惑からドル円は約2ヵ月ぶり水準となる112円51銭を付けた。
20日のFOMCでFRBが12月に利上げする確率は7割を超えてきた。当面は米景気の堅調、利上げペース回復を前提としたドル高・円安が続きそうだ。
テクニカル的では、9月22日安値の111円65銭がサポート、レジスタンスは7月11日高値の114円51銭がサポートになりそうだ。114円51銭をブレークした場合は、17年3月10日の高値115円50銭がターゲットになる。
今週の主なイベントは、日本では28日に臨時国会招集で冒頭解散が予想されており最大の材料。10月10日公示、22日投開票が本命視されている。25日には大阪で日銀黒田総裁の挨拶、26日には日銀金融政策決定会合7月要旨、28日には黒田総裁が全国証券大会で挨拶、29日には日銀決定会合9月の主な意見公開と日銀関係のニュースが話題になることが多そうだ。
株のイベントも多い。26日には9月末権利付き取引最終日となり、日経平均は9月末の配当が130円程度落ちる予想。29日引け値基準で日経平均銘柄入れ替えがある。リクルートと日本郵政が10月2日から新規採用、北越紀州紙と明電舎が除外される。日本郵政2次売却の条件決定が25日から27日までのいずれかの日を予定されている。
海外では25日に米ダドリーNY連銀総裁講演、26日にイエレン議長講演があり内容によってはドル円も動きがでそうだ。10月1日から8日までが中国が国慶節・中秋節の連休にはいる。10月1日にはスペイン、カタルーニャ自治州の独立の住民投票。
経済指標は、日本では29日に8月消費者物価指数、8月鉱工業生産が重要。海外では25日に米8月シカゴ連銀指数、26日に米9月CB消費者信頼感、米7月S&P/ケースシラー住宅価格、米8月新築住宅販売件数、27日に米8月耐久消費財、8月中古住宅販売、28日に米4-6月GDP確定値、29日に米8月PCEコア・デフレーター、米9月シカゴPMI、9月ミシガン大消費者信頼感、9月個人消費・所得が注目される。(ZUU online 編集部)