高齢層が消費市場の新たなターゲットとして注目を集める中、日本の高齢層(65歳以上)の一人当たりの消費量が世界2位であることが、クレディスイスの調査から分かった。

25~64歳の層と比較して、1位の米国では1.37倍、日本では1.30倍、3位のスウェーデンでは1.29倍の消費力があると報告されている。

「シルバー・エコノミー」が市場を変える

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

2050年には世界で20億人を超えると推測されている高齢層は、企業にとって利益創出につながる重要な消費市場だ。特に保険や医療の領域で、高齢層に重点を置いた商品・サービス開発が活発化している。

近年耳にする機会が増えた「シルバー・エコノミー(高齢層経済)」とは、まさに高齢者から生まれる経済を意味する。

2017年現在の世界の寿命の中央値は29.6歳だが、2050年には36.7歳に上がると予想されていることなども含め、シルバー・エコノミーは今後益々拡大していくと期待されている。
クレディスイスは「2020年までに60歳以上の消費は15兆ドルに達する」と見積もっており、消費・医療・不動産といった様々な市場の流れを大きく変化させることだろう。

一例を挙げると、高齢層を狙った電動自転車の売上は、過去6年間で3倍に増えたという。

高所得層の6割が50代以上 資産は若年層の3倍?

高齢層の消費力が最も高い米国では、高所得層(年間所得20万ドル以上)の6割がベビーブーマー(50代以上)で、25~50歳の世帯平均の3倍以上の資産があるという。また先進国における消費者支出の5割以上は、ベビーブーマーによるものだ。この辺りに世代所得格差が強く反映されている。

しかし「日本では高齢者世帯の5割以上が生活保護以下の貧困に苦しんでいる」との報道も、多数見かける 。クレディスイスの見解とは180度異なる。

調査報告書は、国税庁(NTA)やクレディスイス独自のデータなどを用いているが、詳細は明かされていないため、以下はあくまで憶測の範囲に留まる。「高齢層の消費増加=消費自体が活性化している」というわけではなく、「高齢者の数が急激に増えている=消費力が上がる」と考えた方が適切かも知れない。

つまりシルバー・エコノミーが拡大しているからといって、裕福な高齢者が増えているという図式は、少なくとも日本では当てはまらないのだろう。

高齢層の貧困の原因として、「生活費に比べて年金が少ない」「医療費が高い」「定年を過ぎても住宅ローンなどの返済が残っている」ことが挙げられている。

いずれにせよ世界各国で高齢者を支え、労働世代が将来に希望を持てるような、まったく新たなアプローチが必要となるはずだ。ベーシックインカムや高齢者のための街作りなど、様々な発想が実を結ぶ日は来るのだろうか。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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