医療機関におけるブランディング戦略とは、スタッフや医療サービス、施設、治療プロセスやシステムを通して患者の認知を高めることを指します。ブランドを構築することで医療機関の価値が高まり、患者が選択する可能性も増加します。従来はロゴやパンフレットなどのデザインによってブランドの構築を目指す程度にとどまっていましたが、現在ではより複雑にサービスを可視化したブランディングが求められるようになりました。

(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)

医療機関にもブランディングが必要な理由

医療機関を選ぶのは誰しも慎重になるものです。なぜなら、連携やコミュニケーション不足による医療ミスが度々報道されているため、医師1人ひとりへの信頼や組織全体の質が医療機関を選択する指標になりつつあるからです。

例えば、医療事故の報道がされると、医療機関に対する不安も起こります。医療事故は発生件数が長い間明らかになっていませんでしたが、諸外国で調査結果が報告されたことを受け、日本でも調査が開始されています。2015年には任意に参加する医療機関280件で合計3,654件の医療事故が報告されています。

このような背景があるため、医療機関にも経営から医療プロセスまでを含む包括的なブランディング戦略が必要になると言えるでしょう。

診察もブランディングの一環

医師や看護師が気をはることの一つに患者の診察が挙げられます。診察の内容は、患者が病院の質を判断するポイントで、適切な治療はもちろんのこと、丁寧な説明や検査、患者の苦情や意見を聞いてくれるか、話し方、手際の良さなど、評価の対象はさまざまです。

最近では、治療内容の複雑化に加えて患者の価値観も多様化の時代を迎えています。それに伴い、以前に比べて医師と患者のコミュニケーションに食い違いが生まれる場面が多くなっています。また、医療現場では患者との意思疎通を重視し、患者を顧客としてマナーに力を入れる意識が強くなってきました。すなわち、医療機関選びは交通の便や信頼できる医師の存在だけではなく、医療機関全体の雰囲気も評価の指標となっていると言えるでしょう。

知識や見解を積極的に発信する

患者が病院を慎重に選ぶ傾向が出てきた一方で、情報の発信が正確ではない、情報の更新が遅い医療機関も多く存在します。また、口コミ情報だけではなく、第三者が情報を精査して医療機関を評価するようなシステムも徐々に普及しています。最近ではネット上で病院検索サイトも多く登場してきて、利用者が増えています。患者も医療機関の情報を求めているのです。

そのため、医療機関は患者に対して、治療や不安な点、疑問点などに対して、十分に説明をすることが大切です。一人ひとりの患者に正確で適切な情報発信を行うことで、患者や患者の家族が安心するならば、口コミなどで良い評判が生まれる可能性もあります。

忘れてはいけないのは、HP等での情報発信です。患者はどの病院が良いのかを探す時にはHPを見て、情報が最新かどうかを見ます。HPはほったらかしにせずに、適切なタイミングで更新しましょう。そうすることで、最新の情報を提供してくれる医療機関だと認知されることに繋がります。

選ばれる医療機関へのブランディング

医療機関のブランディング戦略はさまざまですが、患者にとっては目に見える医師や看護師の対応の良さが大きな評価基準になると考えられます。つまり、医師1人ひとりへの信頼が医療機関全体の評価につながると言えるのです。一般企業のブランディング戦略と同じように、患者を「顧客」と考えてサービスを提供する姿勢が重要です。(提供: ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。