事業を興すには莫大な資金が必要です。特に介護事業の場合、申請する都道府県にもよっては、指定を受けるまでに多くの時間がかかります。また介護報酬に関しても、国民健康保険団体連合会に請求する兼ね合いもあって、即座に入ってくる訳ではありません。そのため、多くの事業所が融資を活用しているのが現状です。

(写真=Robert Kneschke/Shutterstock.com)
(写真=Robert Kneschke/Shutterstock.com)

新規事業での借入先

新規に事業を始める場合、日本政策金融公庫が行う「新創業融資制度」を活用することができます。新創業融資制度は無担保・無保証でも借入ができるのが特徴です。ただし、国が支援している制度のため、融資を受けるには特別な要件がいくつか存在します。

新創業融資制度を利用するには、新規事業であることに加え、雇用を創出する事業であることが条件です。例えば、デイサービスなど人材の雇用が必須であることが挙げられます。また、創業資金総額の10%以上は自己資金を保有している必要があります。加えて、融資の決定は面談を通して行われます。自己資金の貯め方なども考慮されるうえ、自己資本比率が10%というのはあくまでも最低限の水準です。実際にはなるべく多くの自己資金を用意しておきましょう。

日本政策金融公庫が行う介護・福祉事業への融資実績は年々増え続けており、2016年には件数・金額共に過去最高の608億円に到達しました。競争の激化や介護報酬の改定が大きく影響していると見られ、今後はその傾向がさらに高まると言われています。

担保が用意できない場合の借入先

一般的に、担保が用意できない時の借入れは難しいとされています。銀行は元来担保や保証に頼らない融資の執行が理想だとされており、金融庁によって指導も行われています。そのため、経営状況によっては担保がないとしても銀行融資が通る可能性があります。

また、資金調達方法として「ファクタリング」と呼ばれる方法があります。ファクタリングは、事業者の入金予定の売掛金をファクタリング会社に買取ってもらうことを言います。これによって現金を数日で用意出来る可能性が生まれます。なお、ファクタリングは融資ではありません。短期間で資金が調達できる一種の方法であり、担保が用意できない介護事業者にとっては便利な資金調達方法だといえることでしょう。

担保が用意できる場合の借入先

担保の用意ができる場合は、国の支援以外にも民間企業を利用したローンや銀行からの融資も検討できることでしょう。

不動産などの資産価値の高いものを担保とすれば、融資期間を長く設定が出来る場合もあります。また、経営状況が融資当初と比べて悪くなっても、無担保融資より余裕をもった計画を立てられます。無担保融資より低い金利水準でも、審査基準が厳しく手続きに時間がかかることがあります。

少子高齢化時代が進み、介護事業の需要の更なる拡大を見込み、さまざまな種類の介護者向けローンが生まれています。各業者のメリット、デメリットを熟慮した上で、無理のない返済計画を立ててから行動を起こしましょう。

融資制度をこまめにチェックする

事業者は、資金の調達に最大の配慮をする必要があります。現在は介護事業に対する融資件数や融資額が増え続けている状況なので、新たな融資制度がないかをこまめにチェックしましょう。また、介護事業者は、創業時の資金を確保するために、融資制度に限らず補助金の給付要件などはよく理解することが大切です。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。