昨日の海外時間には、米長期金利が上昇してドル円は7月14日以来の113円台乗せとなりました。

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間、NY時間にトランプ米大統領が税制改正案を発表することへの期待感などから米長期金利が上昇して全般的にドル買いが強まって、ドル円は113.00円台まで上昇し、ユーロドルは1.1730台まで下落しました。

NY時間にはいって、発表された米・8月耐久財受注が予想よりも良い結果だったことから米長期金利が一段高となってドル円は113.20円台まで上昇幅を拡大、ユーロドルは1.1710台まで下落しました。しかし米長期金利の上昇が一服した一方、各国株価が下落を始めるとドルが売り戻され、ドル円は112.30円台まで反落し、ユーロドルは1.1770台まで上昇しました。この間一旦132.70円台まで買われていたユーロ円は132.00円台まで下落したあと132.40円台まで反発しています。その後は米長期金利がやや反発したことからドル円は112.90円付近まで上昇し、ユーロドルは1.1740台まで下落しました。

東京時間未明、トランプ米大統領は税制改革案について発表を行いました。法人税率を35%から20%に引き下げ、個人所得税の簡素化などを含む内容で、これまでよりも共和党の主張に近い物となっていました。市場の反応は想定内ということから限定的なものとなりました。

今日の海外時間にはユーロ圏・9月業況判断指数、独・9月消費者物価指数(速報値)、米・第2四半期GDP/個人消費/GDP価格指数/コアPCE(確報値)、米・新規失業保険申請件数の発表のほか、ラウテンシュレーガー・ECB専務理事、ジョージ・米カンザスシティー連銀総裁、フィッシャー・米FRB副議長の講演が予定されています。

FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約83%とやや上昇しています。

9月始めに北朝鮮情勢の緊張を受けて107円台まで下落したドル円は、その後約半月で約6円上昇しました。この間の上昇は、北朝鮮情勢は未だ不安定ではあるものの、その状況に馴れてきたということと、今朝発表されたトランプ米大統領の税制改革に対する期待による米長期金利の上昇が大きな要因でした。そう考えると、一旦材料出尽くしとなった可能性もあります。今後の鍵を握るのは米長期金利の動向ですが、米10年債利回りが現状の2.3%台からさらに上昇するには追加的な材料が必要な可能性もあります。

日本側の材料としては、何と言っても衆議院の解散総選挙と、政界再編の動きです。希望の党が当初の見方よりも高い支持を集めて、安倍政権の基盤がゆらぐ可能性が取り沙汰されると、アベノミクスの後退という思惑で円買いが強まる可能性もあります。

日米双方の材料を見ると、一旦円安の流れが収まると予想できることから113円絡みではドル売りポジションを作りたいと考えます。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。