昨日の海外時間には、ティラーソン米国務長官が辞任寸前だった、と報じられたことなどから米長期金利が低下しドル売りが強まる場面もありましたが、発表された米経済指標が予想を上回ったことなどから米長期金利が反発しドルも上昇しました。一方スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題は引き続き混乱しています。
昨日の海外市場
欧州時間序盤、日曜日に行った住民投票でスペインからの独立派が圧倒的多数(90%)となったカタルーニャ自治州首相が現地時間正午から記者会見をする、と報じられたことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.1740台まで、ユーロ円は132.20円台まで下落しました。その後「ティラーソン米国務長官が7月に辞任寸前だった」と報じられたこともあって米長期金利が低下したことから全般的にドル売りが優勢となってドル円は112.30円台まで下落し、ユーロドルは1.1780台まで上昇しました。
NY時間午前、米長期金利が反発を始める中、発表された米・9月ISM非製造業景況指数が予想よりも良い結果だったことから米長期金利の上昇が勢いづき、ドル買いが強まってドル円は112.90円付近まで上昇して、ユーロドルは1.1740台まで下落しました。NY時間午後にかけて日経平均先物が上昇したことなどから円売りが優勢となって、ドル円は112.90円台まで、ユーロ円は132.80円台まで上昇しましたが、引けにかけてはもみ合いとなりました。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約78%に低下しています。
今日の予定
今日の海外時間には米・8月貿易収支、米・新規失業保険申請件数、米・8月耐久財受注/製造業受注の発表のほか、欧州中央銀行(ECB)議事要旨の公表と、プラート・ECB専務理事、クーレ・ECB理事、パウエル・FRB理事、ウィリアムズ・SF連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁の講演が予定されています。
今後の見通し
昨日の海外時間から今日にかけてのドル円相場は、引き続き米長期金利睨みの取引が続いています。東京時間午前も日経平均が海外時間の上昇幅を維持できずに前日比マイナス圏での推移となっていますが、米長期金利がNY引けレベルから動いていないことから円高になっていません。今後も米長期金利動向によってドル円相場が動くと考えらえますが、その意味では東京時間は大きな動きにはなりにくいと予想されます。今日の海外時間には、経済指標も比較的多く発表されますが、それよりも次期FRB議長候補と言われているパウエル・FRB理事をはじめとして多数のFRB高官の発言が予定されていることからその内容によって左右されそうです。一方、スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題は、来週9日にも独立宣言を行うのではとの報道がある一方で、中央政府との交渉や、EUなどの仲介を呼び掛けています。今後歩み寄りが見られず混乱が激化した場合はリスク回避の動きでユーロ円の売りから全般的に円買いが強まる可能性もあります。
113円でのドル売りを目指す
以上のような状況を考えると、ドル円相場は112円台を中心としてレンジ相場が続くと予想しますが、レンジを拡大する場合は円高方向の可能性が高いと考え、昨日に続き113.00円付近でのドル売りポジションの構築を目指したいと思います。ただし113.30円を上回った場合は一旦ポジションを手仕舞うべきでしょう。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。