昨日の欧州時間にはイギリスのハード・ブレグジットに対する懸念からリスク回避で円買いが強まりましたが、NY時間にはいって米長期金利が上昇したことからドルが買われドル円も反発しました。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間序盤、ドイツ産業連盟が独企業に対して「very hard Brexit」に備えるよう勧告したと報じられたことから、ポンドが売られる中ユーロ買い円買いが強まって、ドル円は112.50円台まで下落し、ユーロドルは1.1770台まで上昇しました。その後米長期金利が低下すると円買いが強まって、ドル円は112.40円付近まで、ユーロ円は131.90円台まで下落し、ユーロドルも1.1730台まで反落しました。

NY時間にはいって、ウィリアムズ・SF連銀総裁が「経済の強さが景気に敏感な物価を押し上げるのに伴い、今後2年間でインフレは当局の目標値である2%へ上昇すると楽観している」などと述べたことが報じられると米長期金利が上昇し、全般的にドル買いが強まって、ドル円は112.80円台まで上昇し、ユーロドルは1.1690台まで下落幅を拡大しました。

FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約88%まで上昇し、2018年6月までに2回目の利上げを始めて50%以上の確率で織り込みました。

今日の予定

今日の海外時間には米・9月雇用統計の発表があるほか、ダドリー・NY連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演が予定されています。

今後の見通し

今晩発表される米・9月雇用統計の予想は、失業率は4.4%(前月と変わらず)、非農業部門雇用者数はハリケーン「ハービー」の影響もあって+8万人(前月+15.6万人)、平均時間給は+0.3%/+2.5%(前月+0.1%/+2.5%)、労働参加率62.9%(前月と変わらず)などとなっています。今回の雇用統計は、ハリケーンの影響が不明確なことから、5万人から12万人程度は予想の範囲内と言え、相場への影響は限定的かもしれません。むしろFOMCで事実上のNo.3であるダドリー・NY連銀総裁や、カプラン・ダラス連銀総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演のほうが相場に与える影響が大きいかもしれません。

113円付近でのドル売りを目指す、地政学的リスクに注意

米長期金利は2.35%程度からなかなか上昇できないことを考えれば、引き続き113円台は重たいと予想できます。したがって引き続き113円付近でのドル売りポジション構築を目指したいと思います。113.30円を上抜いた場合は一旦手仕舞うべきでしょう。

また、10月8日は北朝鮮金正日総書記就任20周年記念日、10日は北朝鮮労働党創建日ですが、これまでも北朝鮮は国の重要な記念日の前後にミサイル実験などを行っていますので、万が一地政学的リスクが高まるような事態が起これば、一時的かもしれませんが、円買いが強まると考えられます。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。