不動産投資をするのであれば、定期借家契約(定借)についてご存じでしょうか。「契約期間に定めがあること」「一年未満の期間でも契約可能なこと」など、普通の賃貸契約とは大きく内容が異なります。そしてその内容は、不動産オーナーである貸主に対しても大きなメリットがある契約形式であるため、不動産投資をするのであれば知っておくべきポイントです。

定期借家契約について、そしてそれをどのように不動産投資に活用するかについて解説します。

定期借家契約とは?期限付き契約?

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(写真=tsyhun/Shutterstock.com)

2000年3月より、「良質な賃貸住宅などの供給の促進に関する特別措置法」によって新しく創設された借地権の一つで、契約期間が満了すると同時に賃貸契約が終了する、更新がない借家権のことです。

いわゆる、期限付きの賃貸契約ということになります。

普通借家契約との違いと、その影響は?

従来の普通借家契約は、「借主(入居者)に有利すぎる」「貸主(オーナー)に不利すぎる」という点が指摘されていました。というのも、借主が継続して住むことを希望している場合には、貸主からの解約や更新の拒絶は正当な事由がないかぎり難しいからです。しかし、定期借家契約のおかげで「期間限定で自動更新のない賃貸契約」が可能となりました。

例えば、「転勤が決まり引っ越すことになったが、数年後には自宅へ戻りたいケース」や、「売却を考えているが、しばらくは賃貸収入を得ようと考えるケース」などでは、特に有用です。従来の普通借家契約では、一度賃貸に出すことを決めると、どのタイミングで自分のもとに利用権利が戻ってくるか分かりません。入居者が気に入って更新を希望し続ける場合、数十年も利用権利が戻らないケースもあったのです。

ただし、定期借家契約のおかげで、例えば借主との間で2年間の定期借家契約を結ぶことで、自分の転勤のタイミングをある程度見計らいながら、マイホームを資産として有効活用する選択肢がとれるようになりました。

「シェアハウス」や「マンスリーマンション」としての不動産投資にも定期借家契約は活用されています。キッチンや浴室を共同で使うことになるシェアハウスでは、入居者のコミュニティが売りです。もしルールを守らない入居者が入ってきた場合、他の借主にも悪影響が及び、空室率が一気に悪化することもあるでしょう。当初3ヵ月の定借にしておき、その後両社合意の下で更新していくスタイルが主流になりつつあるようです。