数字にも表われている地方生活のメリット
U・Iターンがもたらすのは、ワークスタイルの変化だけではありません。地方移住に伴う生活の変化を調査したところ、「家族と過ごす時間が増えた」「趣味が充実した」という回答が過半数となりました。東京から九州へ移住したあるエンジニアは、「専門性を活かして働き、自然に囲まれた環境で子育てができるので、仕事とプライベートを含めた生活全般の満足度が上がった」と話していました。
また、U・Iターンをする場合、以前は移住という選択肢のみでしたが、最近は「二地域居住」という新たな動きが見られます。これは、都市に生活拠点を持ちつつ、地域社会と一定の関係を持つ暮らし方。プロジェクトごとに東京と地方を行き来したり、週末のみ地方に滞在してNPOの活動に加わったりと、多様なライフスタイルが想定されます。2008年の調査では、二地域居住者は全体の4.4%でしたが、23年までに18%、市場規模で約8兆円まで拡大が見込まれています。
「地方で働く」とひと口に言っても、その実態は多様化しています。今後はさらに多くの選択肢が生まれてくるに違いありません。
中村天江(なかむら・あきえ)
㈱リクルート ホールディングス リクルートワークス研究所 労働政策センター長
東京大学大学院数理科学研究科修士課程修了。1999年、㈱リクルート入社。就職・転職・キャリア形成支援のサービス立ち上げや企画を経て、2009年にリクルートワークス研究所へ異動。「人材採用システムの研究」で、16年に一橋大学で博士号(商学)取得。専門は人的資源管理論。(取材・構成:塚田有香)(『
The 21 online
』2017年8月号より)
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