仕事が多くても利益が少ない建設業

一方、製造業に押されたのか、建設業が低調化しています。前章で説明した通り、住宅の大半を工場で組み立てる時代になったため、建設における建設業の位置付けが低下しました。

その他、材料費の上昇が利益を減らす要因です。ここ数年、建設資材の価格が急上昇しており、建設に必要な費用が増加したため、いくら仕事が多くても、あまり利益を上げられなくなりました。また、必要経費の割に高い収入が見込めるプロジェクト、要するに、官業(地方自治体を含む)が少なくなったのも悩み所の1つです。自民党が政権に復帰しても大型プロジェクトが少なく、建設業全般の利益が薄くなっています。そのため、建設業は意外と儲かっていない様です。

その他、人手不足も建設業界が伸びない要因です。1993年以降の慢性的な不況により若い人が少なくなっている他、いわゆる日当労働者の多くが福島第一原発に流れたため、建設業界における人手不足が深刻になっています。特に深刻化しているのが現場監督の不足です。年齢層がやや偏っていたのか、この時期に現役引退を迎える現場監督が多く、安全面に気を取ることができなくなり、建設業界における殉職者が増えている統計もあります。


必ずしも喜んでいられない不動産業

次に、不動産業はどうでしょうか。中古住宅(オフィスビルも同じ)では空き室が少なくなっており、どんどん新築住宅が高額で売られる様になりましたね。以前、二束三文で購入した中古住宅がようやく転がせる時期になりました。少し前までは、将来的に地価が上がる見込みが極めて薄かったため、住宅を転がすのではなく、被害が大きくならない様に「どうやって損切りするか」が重要でしたが、転がして利益を得られる様になった今、状況が一変しています。住宅の新規建設数が増加して地価が上昇したため、不動産業が儲かる様になりました。

しかし、地価上昇を喜んでばかりいられないのが不動産業です。地価が回復していても、家賃相場が殆ど変わらないため、これまで以上に利益が上げにくくなりました。東京23区であっても家賃3万円以下の賃貸物件が稀にあらわれる様になりましたよ。これが大阪市では当たり前の数字であり、札幌市・名古屋市・福岡市では都心部であっても家賃3万円以下の物件が並びます。(札幌市・名古屋市・福岡市より)60kmほど離れた郊外では5万円で一戸建て5LDKが借りられます。また、中古住宅の分譲・賃貸の契約件数が伸びているのにも関わらず、新築住宅のそれが頭打ちと言うデータもあって、当分の間、不動産業界には苦しい状況が続きそうです。


製造業の伸びに注目

今回の住宅ブームにより伸びる企業は、今まで説明した通り、不動産業・建設業ではなく住宅関連の製造業です。不動産業・建設業は雲行きが怪しい部分があります。株を買うのであれば住宅関連、特に今はやりのスマートハウスを提供している企業が良いでしょう。確実に伸びると思います。スマートハウスを扱っている企業は100社以上存在する様です。意外な企業がスマートハウスを扱っている例もありますから、よく企業をチェックしておく方が良いでしょう。

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