先週の東京為替市場では5週間ぶりの円高となり、ドル円の東京インターバンク13日17時のレートは112円01銭と週間で1円の円高となった。

米長期金利の上昇が一服したことで、米長期金利との連動性が高くなっている円に利益確定の買い戻しが入った。10月9日に2.36%まで上昇した米長期債利回りは2.27%まで低下した。

連日の円高は海外投資家が日本株買いに動いていることもの一つの要因かもしれない。日本株は9連騰でアベノミクス以降の最高値を更新し、21年ぶりの高値を付けた。外国人投資家が10月1週には日本株を1兆円規模で買い越した。

外国人がニューマネーで日本株を買う場合、外貨売り、円買いの需要が発生する。過去にも外人の大規模な日本株の買いで円高が進んだこともあった。だとすればそれほど悪い円高ではない。

スペインのカタルーニャ地方の独立を問う住民投票で独立派が圧勝したが、スペイン政府との対話を優先し施行は延長された。EUの混乱懸念からユーロが売られていたが、独立がすぐに施行されなかったことでユーロが買い戻されドルが売られた。その影響でクロス円での円高が進んだ要因もあった。

13日の米国為替市場では、米9月の消費者物価指数が0.5%増と予想の0.6%を下回り、米利上げペースが鈍るとの見方からもう一段のドル安となった。ドル円は一時111円69銭と9月26日以来の円高水準を付けた。FRBは利上げの判断材料として、景況感とインフレ率を目安にしている。ディスインフレはFRBの議事録でも懸念事項としてあげられている。強い米経済指標がでれば日米金利差拡大の思惑で円安、弱いインフレ統計が出れば利上げペース減速の思惑で円高になる展開になっている。

前週(10/10~10/13)を振り返り

為替展望
(写真=PIXTA)

10日の東京為替市場で円は反騰、前々週末比45銭円高の112円56銭で東京時間の17時を終えた。前々週末に北朝鮮が米西海岸に届くミサイルの発射実験を準備しているとの報道があり、NY市場では有事の円高が再燃し112円70銭で取引を終えていた。その流れを引き継いで一時112円50銭までの円高が進んだ。

11日の東京為替市場で円は続騰、前日比26銭円高の112円30銭で引けた。カタルーニャは国民投票の結果を数週間停止し、スペイン政府と協議したい意向を示した。この協議にはEUも参加すると報じられNY市場でユーロドルは1.18ドルまで上昇、ユーロ高からクロス円での円高が進んだ。

12日の東京為替市場で円は3日連続高となり、東京時間の17時のレートは112円24銭と6銭の円高となった。9月FOMCの議事録で、参加者の多くが低インフレは一時的でなく、持続的要因による可能性があると指摘していた。来年以降の利上げペースが減速するとの見通しからドルが売られた。

13日の東京為替市場で円は4日続騰、前日比23銭円高の112円01銭で商いを終えた。この日も東京市場が引けてから、円高が進行し、一時111円86銭と9月26日以来の111円台をつけた。外人が日本株を買った場合引け後に為替を手当てすることが多い。

先週の海外動向を振り返る

米9月の消費者物価指数が予想を下回ったことで、ドル安が進んだ。ドル円は一時111円69銭を付け、NY市場での引けは111円90銭だった。13日の東京為替市場の引け値からは11銭の円高だった。ドル円は週間では80銭の円高だった。

111円台の円高にもかかわらず、日本株は海外でも堅調だった。日経平均先物の夜間取引は2万1225円と先週金曜日の大阪先物の引け比65円高で商いを終えている。

「10/16〜10/20」の為替展望

今週の東京為替市場でのドル円のメインシナリオは、111円12銭から113円41銭のレンジを想定している。

IMFが17年と18年の世界の経済成長率を上方修正した。米国の経済指標は明らかに上向いており、米シティ・リサーチが発表するエコノミック・サプライズ指数(指標がコンセンサスを上回った比率)は9月から上昇に転じている。

ディスインフレ懸念は残るものの、来年2月に任期を迎えるイエレン議長としては少なくとも年内利上げをしておきたいところだろう。米国が12月のFOMCで利上げする確率はFFレート先物では8割以上の確率になっている。

今週の米経済指標は景況感に関するものが中心。インフレ指標の発表はない。経済指標が上振れとなれば円安トレンドに戻る可能性が高いと見ている。日本の総選挙で自民党が優勢な場合や日本株が続伸した場合も円安となる可能性が高い。

100日移動平均線の111円12銭がドル円のサポート、10月6日高値の113円43銭がレジスタンスだろう。ドル円はまだ108円と115円のボックスレンジ内であり、ボックス上限の115円を目指すトレンドは継続していると見ている。

今週のイベントは、日本では22日の総選挙投開票に向け各党の動向が最大の材料。16日には日米経済対話で麻生財務相がワシントンに出向く。20日には日銀黒田総裁が全国信用組合大会で挨拶をする。海外では18日からはじまる中国共産党大会が最大のイベント。17日からはRCEP交渉会合、18日には米ベージュブック、19日からEU首脳会議がある。EU首脳会議ではBREXITの状況が語られる見通し。

経済指標では、日本では16日に9月の首都圏新規マンション発売、17日に9月全国百貨店売上、18日に9月の訪日外国人客数、19日に9月の貿易統計、20日に9月のコンビニ売上がある。海外では、16日に米NY連銀製造業景況感指数、中国9月の消費者物価、17日に米9月の鉱工業生産、ユーロ圏9月の消費者物価指数、18日に米9月の住宅着工、19日に米9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、中国7〜9月のGDP、9月の鉱工業生産が注目される。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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