ドル円予想レンジ110.90-113.50
「Trump’sRecklessnessThreatens‘WorldWarIII’(トランプは第三次世界大戦への道を歩んでいる)」-。これは10/8の米紙で上院外交委員長ボブ・コーカー氏(共和党)が述べた見解だ。北朝鮮への対応を巡っての批判である。対してトランプ大統領は「馬鹿のように聞こえる」とツイッターで応酬。同議員は国務長官候補に挙げられたほか、2013年にはイエレン氏のFRB議長就任に支持表明し、反対していた他の共和党議員が態度を変えるほどの影響力を持つとされる。トランプ政権との対立を深めれば税制改革など重要法案の議会審議にも影響を与えかねない重鎮なのだ。
米財務省の為替報告書に警戒か
10月中旬において筆者が警戒するドル高抑制材料がひとつある。それは米財務省が連邦議会に提出する為替報告書の発表シーズン(4月・10月の年2回)であることだ。
4月発表時はトランプ大統領が選挙公約に掲げていた貿易赤字削減の為、「為替操作国認定」をチラつかせて市場が警戒モードを強めたことは記憶に新しい。主要貿易相手国・地域を対象にしたトランプ政権の閻魔帳である。もっとも、今回は北朝鮮問題を巡り、米国が求める圧力強化に協調して同盟関係を認識している日本にしてみれば、過度な警戒を抱いていないムードがある。
しかし、国際通貨基金(IMF)が7/28に公表した年次「対外セクター報告書」から、“ドルの実質実効為替レートは10-20%過大評価されている”、とのお墨付きを得ている事が意外と知られていない。公表の時間帯は北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したと伝わった頃であり、IMF報告書がスルーされた格好となっているのだ。10/5発表の8月米貿易収支では赤字が2.7%減、輸出が2年8カ月ぶり高水準と判明したが、対日貿易赤字は15%増で2カ月連続の拡大となった。
くしくも日米の経済関係強化を話し合う経済対話第2回会合が10/16。トランプ大統領が11月の訪日前に貿易不均衡の是正を求め、「同盟関係と貿易は別モノ!」と為替報告書なども利用して搦め手で迫るタイミングでも有り得るのではないか。来年秋の中間選挙までに成果をアピールすることや、対立する一部共和党議員を引き戻すために日本を利用する可能性も否定できない。
10/16週ドル円
上値焦点は10/12高値112.535、1011高値112.60、10/10高値112.835。超えれば10/6高値113.45、7/14高値113.58、週足ボリ+2σの113.91、7/12高値113.98、節目の114.00。下値焦点は111円台後半推移の200日線維持意識で割れたら9/25-26安値圏111.49-46。日足一目雲上限&週足一目雲上限110.91-875を最終橋頭堡と推考。
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト