日経平均予想レンジ20,898~21,375円

今週は、米景気の良好な経済指標を好感した米国株が史上最高値を更新した上、円相場が底堅く推移したことが追い風となり、日経平均は2015年高値20,952円を上抜き、1996年11月以来約21年ぶりに21,100円台を回復した。衆院選を巡る世論調査で「与党安定多数確保」が支援材料になったほか、日本企業の中間決算発表が近づいており、業績上振れ期待が投資意欲を盛り上げた。

海外の焦点

先週末発表の米9月雇用統計は、南部を襲った大型ハリケーンの影響で前月比3.3万人減少と7年ぶりにマイナスに転じ、市場予想の9万人増を大幅に割り込んだ。一方、失業率は4.2%に低下。インフレ動向を見極める平均時給は26.55ドル(2.9%増)と予想を上回った。又、4-6月期GDPは前期比年率で3.1%増え、約2カ月ぶりの高い伸びとなった。直近発表の良好な経済指標が相次ぎ、米景気の底堅さを示している。これらを踏まえ、12月の米利上げ観測に変化は見られず、世界的なリスクオンムードの高まりへの期待は大きい。

米大手調査機関によると、本格化する米企業の2017年7-9月期決算は主要企業の純利益は前年同期比4.8%増を予想している。大型ハリケーンの影響もあって前期の2桁増益から拡大ペースは減速する見込み。ただ、事前予想が低いだけに堅調な米景気を背景に予想を上回る決算が相次げば株価の支援材料となろう。

国内の焦点

第48回衆院選は10日に公示され、22日投開票に向けた12日間の選挙戦が始まった。今後の政権運営を占う上で、与党が過半数を維持したとしても安定多数(244議席)を確保できるかが、大きなポイントとなる。序盤の情勢調査で与党優勢が報じられているが、まだ、投票先を決め兼ねている有権者も多く、22日の投開票まで流動的な要素は残る。

現時点では与党勝利にとどまる可能性が大きいと考えられるが、近年の国政選挙と日経平均の関係では、衆院選に向けては上昇するケースが多かったものの、選挙後は自民党が大勝すれば選挙後も続伸歩調をたどり、大勝しなければ反落するケースが多かった。選挙結果次第で、相場の行く末に明暗が分かれるだけに注視される。

来週の株式相場

以上、来週は今月後半からの国内主要企業の中間決算本格化を見据え、業績拡大期待を追い風に上値を探る堅調な地合いが想定される。日経平均のレンジは上値はPER15倍の21,375円が意識され、下値は10/11窓埋め20,898円が目処となろう。

株式見通し10-16

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト