10月10~13日の東京株式市場は続伸した。
衆議院議員総選挙で与党が優勢との観測が一部メディアで伝えられる中で「自民党が勝つと株価は強含む」との経験則から強気ペースの展開となった。日経平均株価は約21年ぶりに2万1000円台を回復している。目先的には「選挙後」に株価がさらなる上昇を示すのか、それとも材料出尽くしで修正安となるのか気になるところでもある。

東証1部「週間出来高」ランキング

それでは、今回は東証1部の「週間出来高」ランキングをみていこう。

(1)神戸製鋼所 <5406> 4億1102万8800株
(2)みずほフィナンシャルグループ <8411> 3億7874万7400株
(3)ティアック <6803> 3億3385万4000株
(4)三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 2億4612万1000株
(5)エー・ディー・ワークス <3250> 1億5803万5600株
(6)住石ホールディングス <1514> 1億2218万5900株
(7)ランド <8918> 1億0756万1400株
(8)野村ホールディングス <8604> 1億0030万0700株
(9)日立製作所 <6501> 7729万3000株
(10)日産自動車 <7201> 7079万3000株
※銘柄、証券コード、出来高の順。データはヤフーファイナンスに基づく。

鉄鋼大手の神戸製鋼所が週間出来高でトップとなった。顧客の求める仕様と異なる製品を長年販売していたことが明らかになり、補償などの不透明感が広がる中で、売り注文が先行した。なお、今回のランキングを業種別でみると電気機器、銀行、不動産が各2銘柄、鉄鋼、鉱業、輸送用機器、証券・商品先物取引業が各1銘柄となった。

神戸製鋼所、データ改ざん問題でろうばい売り集中

今回は上記ランキングから神戸製鋼所、住石ホールディングス、野村ホールディングスを取り上げたい。

神戸製鋼所は国内3位の鉄鋼大手。鉄鋼はもちろんのこと、アルミや銅のほか、建設機械なども手掛けている。

3連休中の10月8日、神戸製鋼所は記者会見を開き、アルミや銅製品に関する不正行為があったことを明らかにした。顧客との間で取り交わした製品仕様に適合していない一部製品につき、検査証明書のデータを改ざんし、仕様に適合するものとして出荷していた。過去1年に出荷した製品を対象として実施した契約遵守状況の自主点検、緊急品質監査により判明した。

アルミ製品は特に自動車等の分野で軽量化による燃費向上効果が高く、幅広く採用される傾向にある。前年度決算でセグメント別経常利益が2番目であるアルミ・銅事業の不正もさることながら、3連休2日目の異例なタイミングでの記者会見もあり、連休明けの株式市場ではろうばい売りが集中した。

その後、他の自動車部品等に使う鉄粉や鋼材など、主力の鉄鋼セグメントでも同様の不正が発覚した。不正が次々と見つかり逐次発表する姿から、同社の企業統治について疑問視する声もある。

住石ホールディングス、海外出資先からの配当を評価

住石ホールディングスは鉱業・エネルギー開発会社。2008年10月に旧住友石炭鉱業(現在の住石マテリアルズ)の持株会社として設立した。グループとして石炭の輸入販売、人工ダイヤ等の先端素材の製造販売、砕石の採取・加工・販売を展開。海外石炭会社等への投資も行なっている。

9月29日、同社は住石マテリアルズが出資する豪州炭鉱会社ワンボ社からの配当金が11億2800万円で確定したと発表した。市場関係者にとっては良い意味でのサプライズだったこともあり、出来高が膨らんだ。

10月を迎えても同社株の人気は継続していたが、先週13日の大引け後には2018年3月期の連結経常利益予想を19億円(従来予想は10億円)に引き上げるなどポジティブな発表が続いている。

野村ホールディングス、業績向上への期待で人気化

野村ホールディングスは国内証券大手。日経平均株価が約21年ぶりの高値となる中で、証券各社の業績向上が見込まれており、同社株も人気化している。

野村ホールディングスはもともと出来高の多い人気銘柄であるが、9月前半に日経平均株価が上昇に転じると同調するように上昇を始めた。SMBC日興証券は同社の株価格付けを引き上げ、目標株価を700円に設定、この目標にサヤ寄せするように株価は推移している。(ZUU online 編集部)