「千葉県民はピーナッツで大きくなった!」と、囁かれるほど、千葉ではピーナッツ(落花生)がよく食べられています。生産量全国トップを誇る名産地だけに、千葉オリジナルの楽しみ方もあるようです。千葉とピーナッツとの深い関わりや、地元ならではの食べ方など、千葉県名産のピーナッツの魅力に迫ってみます。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

千葉県民はこんなにピーナッツが好き!


千葉県はピーナッツの全国シェア一位で、国内生産量の78%を占めているのをご存じでしょうか。栽培の中心地は八街(やちまた)市と千葉市周辺で、郊外に行くと落花生畑が広がります。それだけでなく、他県ではお目にかかれないピーナッツ専門店が点在しています。

なぜこれほどまで、千葉はピーナッツ王国になったのでしょうか。それには、農地が持つある宿命が鍵を握っていました。

千葉が一大産地になった理由


ピーナッツの産地は、北部の台地に広がっています。この一帯は火山灰で覆われているため、作物が育ちにくいという悩みがありました。そこで注目されたのが、南米原産のピーナッツです。ピーナッツは痩せた土地でもよく育ち、日照りにも強いため、稲や野菜より育てやすい作物でした。

千葉では、明治中期からピーナッツの栽培が拡大していきます。「落花生」はその名の通り、花が枯れて落ちてから実ができます。花が落ちることから農家の間では「縁起が悪い」という噂が広まって、なかなか作付けする農地が増えなかったようです。

そんななか、県を挙げて栽培を奨励し、育てやすい品種改良を続けた結果、次第に県全域で栽培されるようになりました。その効果は凄まじく、今でも千葉の農地面積のうち66%がピーナッツで占められています。

現在、スーパーでピーナッツを手にすると、そのほとんどが中国など外国産です。事実、国内のピーナッツの9割は輸入に頼っています。国産ピーナッツは価格も高く、千葉県外では手に入りづらくなっているのです。それでも千葉では、お土産や贈答品にピーナッツがよく選ばれていて、その味や品質は折り紙付きです。

「県の特産物といえばピーナッツ」と誇りを持って答える千葉では、ピーナッツ文化が日常生活に深く浸透しています。

給食のメニューにも登場!


千葉の誇りであるピーナッツは、小中学校の給食メニューによく使われています。もっとも有名なのは「味噌ピーナッツ」です。地元では「みそピー」として親しまれています。よく煎って香りを立たせたピーナッツに、味噌と砂糖をからめただけのシンプルな食べ物で、甘辛い味わいが子どもたちにも人気です。また、千葉でよく食べられるイワシとコラボした「イワシのピーナッツがらめ」も給食では定番の献立となっています。

ピーナッツは料理で使っても他の食材の邪魔をせず、香ばしさを与えることから何にでもよく合います。道の駅では、カレーやパン、シフォンケーキ、カステラなどにピーナッツを使ったものがあり、その他にも粉末にしたピーナッツを小豆あんに足したり、おしるこを作る材料にしたりする珍しい食べ方もあります。

産地の八街市や千葉市では、老舗のピーナッツ専門店がいくつもあります。ピーナッツ専門店は殻付き落花生にはじまり、煎り落花生やゆで落花生、ピーナッツバター、和菓子、甘納豆など、ありとあらゆるピーナッツ製品を取り扱っています。地元では手土産はもちろん、自宅用にまとめ買いする姿がよくみられます。

産地ならではの「ゆでピーナッツ」


千葉では、ピーナッツを品種によって食べ分けています。全国的に広く普及していて煎り落花生になる「千葉半立」や、サッパリした甘みが特徴の「ナカテユタカ」などは代表的な品種です。

農家や生産地域である千葉ならではの食べ方として、「ゆで落花生」があります。現地では生の落花生が手に入るため、塩ゆでしてそのまま食べるのです。ゆでたピーナッツは食感が柔らかく、強い甘みが特徴です。2001年から出回り始めた大粒で食味の良いゆで落花生向きの品種「郷の香」の登場で、ゆで落花生は千葉の観光地で直売所が立つまでになりました。

香ばしいピーナッツ王国・千葉


このように、ピーナッツは千葉県民に愛されています。千葉を訪れた際は、ぜひ現地ならではのピーナッツを味わってみてください。
(提供:JIMOTOZINE)