ドル円予想レンジ111.50-114.50

「TrumptoannounceFedchairdecisionin“comingdays”(トランプ大統領が数日内に米連邦準備制度理事会(FRB)議長決定について発表する)」-。

これは10/18にサンダース大統領報道官が明らかにした次期議長人事の動向だ。10/17にトランプ大統領は「5人(候補者)の中から」選ぶと話しており、なかでも10/9週号で指摘したバリバリのタカ派、スタンフォード大教授のジョン・テイラー氏が最有力候補として報じられている。

次期FRB議長に失望はあるか

筆者注視は1点。「テイラー氏が次期FRB議長」、と発表された際のドル反応である。同氏は経済モデルを用いて機械的に金利を決める「テイラー・ルール」の提唱者で有名だ。これは、インフレ率やGDP成長率を数式に当て嵌めて政策金利の整合性を示すというものである。つまり、経済政策や政権意向を忖度する余地が少ない筈なので、「テイラー議長」が現実となれば、初期反応はドル買いの公算が大きい、と読む。

しかし、大統領からの指名を受けるのであれば、トランプ大統領の方針(ドル高牽制・低金利)を承服する可能性は否めない。つまり、「タカ派なのに牙(爪?)を抜かれた?」としてドル強気派が「失望のドル売り」に転ずる可能性も否めないのだ。利上げテンポに読み違いが出てくる場面かもしれない。

衆院選後の日銀政策に変化はあるか

衆院選に対し安倍首相は自公連立与党で過半数233議席の確保が勝敗の分水嶺と明言した。過半数割れなら辞任(≒アベノミクス終了)なのだろう。しかし、筆者は安倍首相の退陣でも、リフレ派が運営する現日銀施策が大きく軌道修正される可能性(特に緩和縮小・出口論が一気に高まる可能性)は極めて低いと考えている。

注視しているのは総選挙後30日以内に召集される特別会での首班指名だ。とりわけ、安倍首相の求心力低下の場合はどうなるか、である。その場合は求心力挽回、デフレ脱却への体制再強化、インフレ2%回復への遅延責任として来年3月-4月に任期を迎える日銀正副総裁の続投有無が取り沙汰される可能性を読んでいる。候補者は現策に対し「緩和効果が不十分」と不満を抱くタカ派のリフレ志向者となろうか。

10/23週ドル円

上値焦点は10/6高値113.45、7/14高値113.58、7/12高値113.98、週足ボリ+2σの114.00、7/11高値114.49。下値焦点は111円台後半推移の200日線維持意識で割れたら9/25-26安値圏111.49-46。日足&週足一目均衡表雲上限110.91-110.875、110.445(ネジレ発生)を最終橋頭堡と推考。

為替見通し10-20

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト