先週の東京為替市場で円は反落、ドル円の東京インターバンク間の13日17時のレートは113円33銭と週間で1円32銭の円安だった。
日経平均が地政学リスクの落ち着きと企業業績の情報修正期待から14連騰で21年ぶりの高値を付けた。買いを支えるのは外国人投資家だ。10月1週に現物と先物合計で1兆1148億円を買い越した外国人投資家だが、19日に発表した10月2週も7678億円の買い越しだった。外国人投資家のリスクオンは基本的には円安要因。
米国の経済指標では19日発表のフィラデルフィア連銀景況感指数が27.9と予想の22から大きく上振れた。米景況感は相変わらず強く、前々週末2.27%まで低下していた米長期債利回りは一時2.39%まで上昇した。円は米長期金利との連動性が高くなっており、日米金利差の拡大とともに20日の東京為替市場ではドル円は113円33円まで円安となり、同日のNY市場では113円57銭と7月14日以来の安値をつけた。
今週の最大の注目材料は26日のECB定例理事会だ。ドラギ総裁が来年1月以降の資産購入プログラム延長と購入規模の減額を発表するとみられている。内容がタカ派だった場合は、ユーロ高が再燃し、対ユーロで円安が進む可能性がある。
イエレン議長の後任人事も今週が山場を迎える。後任が利上げに対してタカ派なら円安が進み、ハト派なら円高になる可能性がある。
ECB定例理事会、FRB議長人事の予想は難しいものの、今のトレンドからして内容次第では円安が大きく進む可能性があると見ている。
前週(10/16~10/20)の振り返り
16日の東京為替市場で円は5日続伸、ドル円は前々週比28銭円高の111円73銭で東京インターバンクの17時を終えた。
13日に公表された9月の米消費者物価指数が市場予想を下回り米利上げペースが減速するとの見方で円買いが優勢だった。16時すぎに111円66銭と9月26日以来の円高水準を付けた。
17日の東京為替市場で円は6日ぶりに反落、17時のドル円レートは前日比40銭円安の112円13銭だった。
米国の主要株価3指数がすべて過去最高値を更新した。FRB議長の後任候補としてジョン・テイラー教授の名前がメディアで上げられた。同氏は利上げに対してタカ派であることから10年債利回りが 2.31%台まで上昇し、相関関係の高い円が112円台まで売られた。
18日の東京為替市場で円は続落、17時のドル円は前日比39銭円安の112円52銭で終えた。
NYダウは好決算を背景に一時2万3000ドル台に上げ大台替わりとなった。リスクオンの円安となった。日銀は市場対策で年間6兆円の日本株のETF買いを入れている。株価上昇で日銀が買い付け額を変更するとの見方が高まる中で、審議委員の一人から「変更を考えていない」との発言があったことも円安要因だった。
19日の東京為替市場で円相場は3日続落、17時のドル円は前日比16銭円安の112円68銭だった。
米ベージュブック(地区連銀経済報告)では、景気は拡大しているが物価上昇も緩やかなことが確認され、米長期債利回りが一時2.35%まで上昇し、日米金利差の拡大の思惑でドル円は一時113円14銭まで下落した。もっとも113円台では利益確定の円買いも多く、時間外で米長期債利回りも下がったためドル円は112円台半ばまで下げた。
20日の東京為替市場で円は4日続落、17時のドル円レートは前日比65銭円安の113円33銭だった。
スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題が表面化し米長期金利が低下し、イエレン議長の後任人事にハト派のパウエルFRB理事の名前が挙がったこともあり、朝方は一時112円53銭まで円高となった。
しかし、米上院が18年度の予算円を決議したと伝わると、法人減税やリパトリ減税を含むトランプ大統領の税制改革が進展するとの思惑で一転円安となり、一時113円35銭と7月14日以来の水準となった。
先週の海外動向を振り返る
NY為替市場で、18年度予算案が可決しトランプ大統領の法人減税やリパトリ減税を含む税制改革が前進するとの期待が高まったことから円安となり、ドル円は前日比95銭円安の113円55銭で引けた。一時113円57銭と7月14日以来の円安レベルとなった。20日の東京市場の引けと比べても22銭の円安だった。
20日のNYダウは6日続伸、165ドル高の2万3328ドル引け史上最高値を更新した。週間では291ドル(1.3%)高で6週連続の上昇だった。世界的なリスクオンは継続している。
日経平均先物の夜間取引は、NY株高、円安を好感して買われ、2万1550円と20日の大阪市場の先物の引けの100円上で引けている。
「10/23~10/27」の為替展望
今週の東京為替市場でのドル円のメインシナリオは、112円67銭から114円49銭のレンジを想定している。
22日総選挙の結果が焦点となるが、すでにメディア等で自民党と公明党で与党はで過半数を大きく上回る議席を獲得したと報道されている。もっとも、7~9月期の日本企業の決算発表が本格化するため、業績拡大期待で株高が継続するのなら円安が進みやすい地合となる。
テクニカル的にはドル円は20日に10月6日高値の113円43円を抜いたことから、次は7月11日高値の114円49銭がターゲットとなる。サポートは5日移動平均線の112円67銭。そこをブレークした場合は10月16日安値の111円65銭が次のサポートだろう。
来年2月に任期を迎えるFRBのイエレン議長の後任人事が最終局面に入っている。トランプ大統領の訪日前(11/5)には決定するとの見方が多い。主力候補者の中では、ウォーシュ元FRB理事やスタンフォード大のテイラー教授になった場合は、利上げにタカ派で円安が進むと見られている。パウエルFRB理事やイエレン氏再任の場合は円高に振れる可能性があると言われている。
今週のイベントは、日本では選挙後特別国会召集から首班指名、組閣が注目。来週以降の重要なイベントでは30日が日銀金融政策決定会合(~10/31)、11月5日には米トランプ大統領訪日(~11/7)がある。トランプ大統領は韓国、中国にも歴訪する予定。海外では26日のECB定例理事会とドラギ総裁の会見があり、来年1月以降の資産購入プログラム延長と購入規模の減額を発表するとみられている。29日からは欧米でウィンタータイムに入る。来週は10月31日から米FOMC(~11/1)が注目のイベントだ。
経済指標では、日本では27日の9月の消費者物価指数が注目。海外では23日のシカゴ連銀全米活動指数、24日中国共産党大会閉幕、25日に米9月耐久財受注、米9月新築住宅販売、27日に米7~9月GDPがある。(ZUU online 編集部)