ドル円予想レンジ113.20-115.80
「これからが、大変なんだよ」-。これは先日の第48回衆議院選挙で当選を果たした懇意代議士の弁だ。“大変”の理由は、選挙区への御礼と報告、そして憲法54条に則し、選挙後30日以内に召集される特別国会での首班指名に関連した党内調整となる。
政治ドタバタ期に日銀がハロウィン悪戯
10/26、菅官房長官は衆議院各派協議会と参議院議院運営委員会理事会で、特別国会の11/1召集を通達。同日は正副議長選出後、衆参両院本会議で首相指名選挙が行われ、ほぼ100%の確率で安倍自民党総裁が第98代首相に指名される。アベノミクス再発進場面だ。
しかし筆者が注視しているのは、その前日、10/31の日銀金融政策決定会合である。過去号で指摘したが、安倍政権であろうとなかろうと、量的金融緩和策は継続される可能性が高い。長短金利を操作する現緩和策が維持される見込みだ。
そこで筆者が邪推したのは、首班指名を控えた政治空白期の10/31日銀会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しを小幅に下方修正する可能性もあるのではないか、との読みである。理由は「携帯電話値下げ」を指示した政治への当てこすりからだ。
黒田総裁にしてみれば、2013年1月に政府と日銀が結んだ政策協定(日銀は2%の物価目標達成、政府は財政健全化)が、今回の解散・総選挙の為に反故にされた格好でもある。また、以前より「足元の物価上昇率が弱いのは、主として携帯電話機や通話料の値下げが相当効いている」とし、最近では、10/20の全信組大会でも同様の言を示している。
対して家計負担減から安倍首相の指示を受け、「携帯値下げに取り組む」と高市・野田総務相が続けて実行。『“携帯電話値下げ”が物価上昇率を圧迫、と声を挙げているのに何故配慮してくれないのだ!』との黒田総裁の不満が看過されてきたのだ。
2014年の“ハロウィン緩和”には及ばないにせよ「Trickortreat!(お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうよ)」との決め台詞のように、「Supportora deflation!(配慮しないとデフレだぞ)」と日銀が政府にダダをこねないだろうか。物価見通し下方修正への市場反応は緩和長期化。そして強化観測が高まれば、“1ドル115円超”を煽るかもしれない。
10/30週ドル円
上値焦点は3/15高値114.90、節目115.00、3/14高値115.205、3/10高値115.52、月足雲上限115.848、節目116.00。1/11高値116.88期待は望外か。下値焦点は10/26安値113.34、10/23-24安値圏113.23。割れると10/20上昇帯113.10-112.70の維持が問われ同日安値112.51、週足雲上限112.183が意識されると推考。
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト