日経平均予想レンジ21,614~22,200円
今週は、衆院選での与党大勝に加え、米国株高、円安基調など良好な投資環境を背景に、日経平均は最長となる16連騰を記録して年初来高値を更新し、1996年7/10以来22,000円を回復した。世界的な株高により、リスク許容度の拡大や、国内の企業決算に対する期待も株価を押し上げた。
海外の焦点
米国では、世界経済の回復を追い風に米企業決算の好調な結果が相次ぎ、NYダウは史上最高値を更新した。米主要500社の7-9月期純利益は前年同期比4.1%増を見込み、既に決算発表した73%の企業で純利益が予想を上回った。トランプ政権が目指す法人税減税による企業業績の押し上げ効果を織り込む動きも米株価の上昇を支えている。
注目のFRB後任人事でトランプ大統領は、パウエルFRB理事とスタンフォード大教授、テイラー氏を検討していることを明らかにした。パウエル氏はイエレン氏の段階的な利上げアプローチを支持する穏健派。一方、テイラー氏は改革志向であるとともに厳格なルールに基づく金融政策を標榜しており、金融平常化ペースの加速から、一段の金利上昇、ドル高になる可能性が指摘されている。トランプ大統領の決断が注目される。
国内の焦点
今回の相場急騰をもたらした要因としては、衆院選をきっかけに欧州系を中心とした海外勢の買いが相場上昇を牽引したと考えられる。
衆院選の解散観測が浮上したのは9/17。連休明けの19日、日経平均は大幅上昇した(389円高)。その後、民進党分裂が報じられた10/3には213円上昇、選挙が公示されて選挙戦がスタートした10日には132円の上昇を見せた。そして12日には与党優勢報道がなされ、22日投開票では絶対安定多数を獲得し、結果として日経平均は年初来高値を更新、16連騰を記録した。
この間、外国人は各場面でまとまった買いを入れ、9月は裁定取引を絡め、現物・先物合計で1.42兆円、10月は第3週まで2.72兆円を買い越した。北朝鮮情勢、米利上げによる長期金利とドル相場、米税制改革の行方など、リスク要因の沈静化により、8月まで日本株を売った買い戻しが急騰を誘引したと推測される。
来週の株式相場
以上、来週は世界的な景気の強さや良好な企業業績を背景に1996年高値22,666円を目指す展開。ただ、短期的には急騰の反動から、スピード調整に転じる可能性は考慮しておきたい。今後のポイントは、安倍政権の政策の実現性と政局の安定を見据え、補正予算や景気対策を見極めることとなろう。日経平均のレンジは、上値はPER15.5倍の22,200円が目処となり、下値は10/23下窓21,614円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト