先週(10/23〜27)の日本株は7週間連続の上昇となり、日経平均株価は週間で550円(2.6%)高の2万2008円45銭と年初来高値を更新して商いを終えた。2万2000円台は96年7月5日以来21年3ヶ月ぶり。

10月2日から始まった日経平均の連騰記録は史上最長の16日連続となった。25日に連騰は一旦途切れたものの、26、27日と2日連続高と押目らしい押目を入れていない。金曜日は週末にもかかわらず午後から一段高でほぼ高値引け。今週の株高を期待させる引け味だった。

株高のカタリストは、①世界景気好調で世界の株式市場でリスクオン、②日本のファンダメンタルズ好調で割安感から外人が大幅買い越し、③総選挙で自民党圧勝、地政学リスクの沈静化、④円安の進行が主因だ。

日本の4-6月の実質GDPは年率4%増と市場予想の2.5%を大きく上回り、11年ぶりに6四半期連続の上昇となった。郵便料金、宅急便、ビールなど数十年ぶりの値上げが実施された。名目GDPはついにバブル期を抜き、長かったデフレから脱しつつあることを印象づけた。法人企業統計でも、日本企業の4-6月期の経常利益率はバブル期を越え過去最高となった。7-9月の決算発表では上方修正が目立っている。長期連騰は過去を振り返ると大相場入りのサインだった。まずは96年6月に付けた2万2666円が視野に入ってきている。

先週(10/23〜27)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

23日の日経平均は過去最長となる15日続伸、引け値は前々週末比239円01銭(1.1%)高の2万1696円65銭だった。

22日投開票の衆院総選挙で予想を上回る快勝だった。自民圧勝の選挙後は株高になることが多く、年内の追加景気対策などアベノミクスの継続を期待した買いで全面高となった。ドル円も東京為替市場で7月11日以来の114円台をつけた。

24日の日経平均は過去最長を更新する16日続伸、前日比108円52銭(0.5%)高の2万1805円17銭で引けた。

NYダウが6連騰で途絶え、円安も一服、朝方弱く始まったものの、押し目買い意欲は強く上昇に転じた。午後から欧州系外人と思われる買いで高値引け。

25日の日経平均は連騰が途切れ17日ぶりに反落、前日比97円55銭(0.5%)安の2万1707円62銭で終えた。

NYダウが過去最高値を更新。日経平均も午前中に一時2万1900円台を回復した。高値警戒感からECB定例理事会を26日に控えて、2万2000円の大台替わり前に利益確定の売りが優勢となった。東証1部の売買代金は3兆3155億円と5月8日の3兆4434億円以来約5カ月ぶりの高水準。押し目を待っていた個人投資家や国内機関投資家からの買いが膨らんだようだ。

26日の日経平均は小幅ながらも反発し、前日比32円16銭(0.2%)高の2万1739円78銭で引けた。

ECB理事会を控え上値追いはしないものの、17年4〜9月期の決算に上方修正する銘柄が目立っており、業績拡大の期待から押目を買い意欲が強い。

27日の日経平均は続伸、前日比268円67銭(1.2%)高の2万2008円45銭で商いを終えた。

ECB定例理事会ではテーパリングが発表されたが、緩和ペースは想定よりも緩やかで買い安心感が拡がった。ドル円は23日以来の時114円31銭をつけた。東証1部の売買代金は3兆1008億円と高水準。

先週の海外市場を振り返る

27日の米国株は続伸、NYダウは33ドル(0.1%)高の2万3434ドルで引けた。週間では7週連続高の105ドル高だった。

26日引け後にアマゾン、グーグルといった米国株を牽引してきたFANG銘柄が好決算を発表、ハイテク比率の高いナスダック総合指数は2.2%高と急騰し過去最高値を更新した。

ドル円は朝方114円45銭と7月11日以来の円安水準を付けた。米7〜9月期のGDPが市場予想を上回ったことと、スペイン上院がカタルーニャ州の自治権停止を承認したことでユーロ安ドル高となったことで円は売られた。もっとも、FRB議長の後任人事で利上げについてハト派のパウエル理事長が優位と伝えらえたことでNY市場のドル円は113円75銭で引け、東京市場の引け114円11銭より36銭ほど円高が進んだ。

日経平均先物の夜間取引は、円高で模様眺め気分が強くなり、大阪先物の引け比20円安の2万2030円だった。

今週(10/30〜11/2)の株式展望

今週の日経平均のメインシナリオは、2万1790円から2万2200円のレンジを想定している。

日経平均は16連騰で過去最長の連騰を記録した。60年の14連騰後は、池田首相の所得倍増計画で日本は好景況となり株価は大きく上げた。88年の13連騰後は、バブルで大きく上げた。歴史的な長期連騰はその後の株高を示唆している。

先週の日経平均の引け味は今週の株高を予感させるものだった。主力企業の好調な業績発表や上方修正が目立っており基本的には高値追いで、今後バブル以降の戻り高値を更新する可能性が高いだろう。ただ、今週は文化の日の3連休を控えているだけに一直線での上昇とはならないだろう。

日経平均は、ボリンジャーバンドの2αをレンジの上限にして動いている。2αは現在2万2081円にあり、スピード調整が欲しい場面だ。円安の進行で上伸したとしても心理的抵抗ラインである2万2500円手前では一旦もみ合いそうだ。調整した場合は、2万1790円の5日移動平均線までの短期調整で終える可能性が高いとみている。

25日移動平均線からの乖離は4.8%と危険水域である4%を越えてはいるが、トランプラリーの17年11月〜12月の急騰期には6.1%を越えていたこともあり、連騰の割にジックリと上げているため過熱感は少ない。バリュエーション面でもPERが15倍程度で米国の18倍に比べて割高感は少ない。

リスクファクターは米国の政策要因。1日には米税制改革案が提示される。また5日からのトランプ大統領訪日を控え3日までには、FRB議長の後任人事が決まる。二つの大きなイベントの内容次第では世界的なリスクオンが一服する可能性がある。

税制改革は、法人税を20%に減税ならびにリパトリ減税の方針をすでに発表済み。リパトリ減税はドル高・円安要因。2004年にリパトリ減税を施行したときには、海外利益留保が多い米国の世界的なハイテク企業の株が買われ、ナスダック指数が大きく上げた。FRB議長の後任人事では、ウォーシュ元FRB理事、テーラーFRB理事なら円安、パウエルFRB理事もしくはイエレン議長再任なら円高の可能性が高いだろう。

今週のイベントでは、日米の金融政策会合がある。30〜31日が日銀金融政策決定会合、31〜1日がFOMCだ。どちらも政策据置がコンセンサスでいつもよりは注目度は低い。2日には英国の金融政策も発表される。日本では、1日の特別国会召集から、首班指名、組閣が材料となる。2日にはGPIFの7〜9月期の運用実績が公開される。

米国では1日に税制改革案、3日までに発表されるFRB議長の後任人事発表が最も重要なイベント。再来週の5〜7日が日米首脳会談となる。11月3日にはアップルのiPhoneXが発売される。東京モーターショーは5日まで。3日は日本が文化の日で3連休。

経済指標では、日本では31日に9月の鉱工業生産、9月家計調査、1日に新車販売台数、2日に10月の消費動向調査がある。海外では31日に中国製造業PMI、ユーロ圏7〜9月のGDP、1日に米10月CB消費者信頼感指数、1日に米10月ADP雇用統計、米10月ISM製造業景況指数、米10月新車販売台数、3日に米10月雇用統計、米9月貿易収支、米10月ISM非製造業景況指数が注目される。

日本の注目の決算発表では、30日に任天堂、31日にパナソニック、ソニー、東京エレクトロン、1日にホンダ、KDDI、2日に伊藤忠、物産などがある。 日本企業に影響をあたえる米決算では、1日のテスラ、クアルコム、フェイスブック、2日のアップルが注目。(ZUU online 編集部)