今週の焦点は日経平均が1996年6月26日に付けたバブル崩壊後の戻り高値2万2666円を抜くかどうか。ここまでの強さからすれば、達成はじゅうぶん可能だろう。しかし、高値を更新した後は、目標達成感とテクニカル的な過熱感から利益確定売りが膨らむだろう。トランプ大統領のアジア歴訪にあわせた北朝鮮の挑発行動も懸念される。

テクニカル的な過熱感と述べたが、確かに日経平均は25日移動平均線との乖離率が5.8%に達し、RSIも90を超えているため、ここからさらなる急伸は考えにくい。しかし、騰落レシオ(東証1部、25日平均)は過熱レベルといわれる120を超えているものの、10月18日の138からは低下している。値幅ではなく日柄でスピード調整をするタイミングか。

米国では先週末のアップルで決算発表も佳境を過ぎた。雇用統計、FRB議長人事、税制改革案など重要イベントの発表も終わって短期的には出尽くし感が台頭するだろう。

日本の決算発表の目玉は、7日のトヨタだが、最近は市場への影響度が落ちている。かつてはトヨタの決算が市場のセンチメントをおおいに動かしたものだが。日米それぞれの市場においてともに時価総額最大企業だが、市場における存在感という点ではアップルとの差は歴然となっている。10日には260社余りが決算を発表し、これで4-9月期決算発表もほぼ一巡する。

米国ではブロードコムによるクアルコムの買収観測が浮上、クアルコムの株価が急騰し、フィラデルフィア半導体株価指数も大幅に上昇した。週明けの東京市場でも半導体関連が賑わいそうだ。

今週の予想レンジは2万2000円~2万2800円とする。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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