これから不動産投資を始めるなら、最初は東京の物件を検討することを強くおすすめします。地方には利回りが高い物件が多いのも事実ですが、不動産投資は長期戦です。表面利回りだけを追って投資しても、上手くいかないケースも多くあります。東京を勧める理由は不動産としてのポテンシャルの高さです。東京の不動産事情をデータで追ってみましょう。

(写真=BaLL LunLa/Shutterstock.com)
(写真=BaLL LunLa/Shutterstock.com)

人口がピークアウトした日本 2040年にはさらに12%減少

基本的に不動産の需要の増減は、人口の増減が最も大きな要因です。日本の人口は2008年の1億2,808万人でピークをつけました。総務省の概算では2017年10月1日時点の人口は1億2,672万人とピーク比で136万人(1.1%)減少しています。これは川崎市あるいはさいたま市の人口が丸ごといなくなってしまった、といえばイメージしやすいでしょう。人口が減れば家が余ります。いくら表面利回りが高くても、不動産は稼働率が下がれば利回りは低下していきます。

日本は少子高齢化が進み人口減はこれから加速していきます。現在、生まれてくる子供は年間約100万人、亡くなる方が年間約130万人。差し引きで年間約30万人が自然減するペースです。2020年頃には自然減が年間約50万人、2030年頃には約70万人、2040年頃には約90万人というペースで人口減少が加速します。厚生労働省の予測では、2040年の日本の人口は1億1,092万人、2017年比で1,560万人(約12%)減少する見通しです。

東京一極集中で東京都区部の人口は2030年まで増える

人口は全国で一律に減少する訳ではなく、二極化が拡がってきています。2016年の全国の人口は前年比で0.1%減少しました。減少が一番大きかった県は秋田で1.3%減、ついで青森が1.1%減、高知が1.0%減でした。増えているのが東京で+0.8%、ついで沖縄+0.4%、埼玉+0.3%、愛知+0.3%でした。

沖縄は温暖な気候から移住者が増えていますが、それ以外で増えているのは東京など首都圏だけです。特に東京の一極集中が顕著です。

現在の東京都の人口は2017年9月1日で1,374万人、前年同月比で約11万人(0.8%)の増加です。東京都は5年に1度の国勢調査をもとに人口や世帯数の長期予測を出しています。東京都の人口は2025年のピーク1,398万人までは増える見通しです。特に千代田区、中央区、港区の東京都心3区は2040年まで人口が増えつづけます。湾岸地区である江東区は2035年に、文京区、台東区、品川区、渋谷区、板橋区は2030年にピークをつけると予想されています。

もちろん地方でも立地の良いエリアでは、賃貸需要が高い地域もありますが、総じて投資物件は東京が有利だと言うことがお分かりいただけるかと思います。

大阪圏、名古屋圏は転出超過で東京首都圏の一人勝ち

東京以外の大都市はどうでしょうか?残念ながら大阪圏、名古屋圏はわずかですが転出増になっています。

総務省の統計では2016年の都道府県別の転入超過数で東京都は約7万4,000人増となり、転入超過率は0.56%と全国で一番でした。他の都道府県から東京に転入してくる人口が最も多いのです。ついで、超過率は千葉0.26%、埼玉0.22%、神奈川0.13%が上位です。東京首都圏としての転入超過数は約11万8,000人で転入超過率は0.33%増でした。

一方で、大阪府は2016年で転入超過数が約2,000人、愛知県は約6,000人と増加していますが、大阪圏となると約9,000人転出で転出超過率は0.05%、名古屋圏では約2,000人減で転出超過率は0.02%とわずかながらですが転出が超過しており、この傾向はここ数年続いています。 大都市だからいいのではなく、東京、東京圏だからいいのです。今後も不動産需要が安定して見込めるのはやはり東京、東京圏です。

人口減でも世帯数は増加が続く

人口減少しはじめた日本ですが、世帯数はまだ増えています。一世帯当たりの人数が減り、小世帯化が進むためです。賃貸不動産需要は人口そのものよりも世帯数の影響が強いでしょう。

2015年の国勢調査で全国世帯数は5,290万世帯でした。2010年比で106万世帯(2.0%)増でした。総務省の予想では世帯総数は2019年の5,307万世帯までは増加します。高齢化が進むことや未婚者、離婚率の増加で一人暮らし世帯が増えるためです。

現在の東京の世帯数は691万世帯です。前年同月比で10万世帯(1.5%)増えています。増加のペースは全国平均を上回ります。東京都の世帯数は2030~2035年頃の708万世帯までは増加します。2035年の単独世帯比率は2015年の47.3%から48.9%に上昇する見込みです。東京は人口も増えているうえに、世帯数の増加は人口を大きく上回るペースで伸びています。小世帯化によって世帯数が増え、賃貸需要は底上げされることが東京を推す理由の一つです。

賃貸住宅の新規需要は年間10万室

主に不動産を賃貸するのは労働力人口(就業者と失業者を合わせた人口)を構成する人達です。東京都は労働力人口も増加しており、それに伴い賃貸住宅の需要は増えます。

東京都の2017年4〜6月期の労働力人口は791万人で前年同期比14万7,000人(1.9%)増でした。全国の労働力人口は6,743万人で、同55万人(0.8%)増でした。東京の労働力人口の伸びは顕著です。高齢者の労働力人口も増えています。

東京には1年間で7万人の転入超過があり、労働人口は年間14万人増えています。世帯数も年間10万世帯増えており、この純増分の新規需要はあると考えて間違いないでしょう。

オリンピック、日本株上昇で不動産価格上昇期待

不動産投資が魅力的なのは、融資金利が低いときに投資し、長期でインカムゲインを回収しているうちに、不動産価格が上昇してキャピタルゲインが狙える可能性があるからです。 過去、日本の不動産はまさにこの仕組みが上手く働いていましたが、その後バブルが崩壊し不動産価格は下落に転じました。

しかし最近では不動産が活況を取り戻し、さらに日経平均が21年ぶりの高値となるなど、長いデフレ期が終わろうとしているようです。インフレに転じれば不動産価格が上昇する可能性が高まります。

国土交通省が9月19日に発表した2017年7月1日の基準地価によると、三大都市圏の商業地の地価は前年比3.5%増と10年ぶりの上昇幅となりました。インバウンドの需要増が商業地の地価上昇を支えています。大阪や東京の一部のエリアではバブル期の価格を超えた地点もあります。

三大都市圏の住宅地も0.4%増とアベノミクス以降4年連続の上昇となっています。ここ3年はいずれも0.4%の上昇と堅調です。景気回復と雇用改善に加えて低金利による住宅需要が継続して増えているためです。

インバウンドの需要増は20年東京オリンピックまでは続く可能性が高く、日本株が21年ぶりの高値更新となったことも不動産価格を刺激しそうです。

もっとも、タワーマンション高層階の固定資産税の見直しが行われたため、高額物件が多い都心部では上昇率は一時的にスローダウンしています。例えば中央区の上昇率は昨年の5.5%から4.8%増とやや減速しました。

決して高くない東京の賃料、金利とのスプレッドも魅力的

オリンピックに向け、渋谷、品川、湾岸エリア、虎ノ門などで再開発が進み、ますます東京にビジネスが集中してきました。すでに下町など昭和の風情が色濃く残る街でも都市再開発の計画が進行しています。これらの再開発をきっかけとして、今後も都心の不動産需要は高まるでしょう。

東京の賃貸価格は世界の主要都市と比較しても決して割高ではありません。都市中央部の70平方メートルのマンションの月額賃料を世界と比較した調査では、1位はシンガポールで約25万3,000円、2位がロンドンの約19万4,000円、3位がニューヨークの約18万円、4位が香港の約17万1,000円で、5位が東京で15万円でした。世界レベルで見ても決して東京の賃料が特別高いわけではありません。

不動産の投資利回りではどうでしょう。ここでは上場投資信託であるREITの配当利回りを世界と比較してみましょう。REITとは不動産でポートフォリオを組んだファンドで、上場しています。その平均分配金利回りはその国の不動産利回りに近いものになるはずです。日興アセットマネジメントの調べでは、2017年5月の日本のREITは分配金利回りが3.7%でした。

シンガポールの5.8%、オーストラリアの4.6%、フランスの4.5%、米国の4.0%に比べて高くはありませんが、市場の金利(10年債利回り)を考えると、日本は金利がゼロで利回りが3.7%なのでスプレッドが3.7%です。シンガポールの3.8%、オーストラリアの2.3%、フランスの3.8%、米国の1.8%と比べて決して見劣りしません。不動産投資は表面利回りだけでなく、調達利回りとの差(スプレッド)で見る必要があります。基本的に不動産はキャッシュではなくローンで買うためです。

オリンピックによる再開発で地価上昇期待

先進国のオリンピックの例として、2012年のロンドンオリンピック前後の不動産価格を見てみましょう。1995年を100とした英国住宅価格指数は2013年までに2.6倍になり、オリンピックの行われたロンドンでは4.0倍になっています。もちろんオリンピック効果だけではないでしょうし、不動産の上昇とオリンピックに相関関係は認めにくいとのレポートも出ていました。ただ、2008年から2009年のリーマンショックを間に挟んでもロンドンの住宅価格は大きく上げ、その後ピークを付ける2014年まで上昇基調だったことは事実です。日本でも景気回復、インフレ、地価上昇が同時に起こっても不思議ではありません。

金利が上がる前の今こそ

・ 東京には今後も人口が集中する
・ 労働人口も東京に集まる
・ 東京の世帯数は増加する
・ 賃貸住宅の需要が高まる
・ オリンピック前の東京の再開発が進む
・ 世界の主要都市に比べ東京の不動産割高感はない

これらを見る限り、不動産投資を検討しているのなら、金利が上がる前の今こそが不動産投資のチャンスであり、投資先は東京がベストだと言えるでしょう。

(提供: Incomepress

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