日経平均予想レンジ22,400~23,000円
今週は、米国株の最高値更新や円安の流れに加え、好決算発表を背景に日経平均は4日続伸を絡め、1992年1/8以来23,382円の高値水準まで買い進まれた。その後、週末には高値警戒感が強まる中、欧米株安が嫌気され、終値は22,681円迄押し戻された。
海外の焦点
米国では、10月雇用統計は前月比26.1万人増加した。ハリケーンの影響を受けた前月の1.8万人増からの反動で伸びが加速した。失業率は4.1%と前月から0.1%低下し2000年12月以来、約17年ぶりの低水準となった。
FRBは金融会合後の声明で景気認識を「力強く拡大」に上方修正し、12月に開く会合での追加利上げを視野に入れた。物価上昇の先行きを示す時給の伸びは、前年同月比2.4%増と前月の2.9%から伸びが鈍化。賃金インフレの兆しは依然弱く、FRBの利上げペースは緩やかに留まるとの見方が改めて強まった。
一方、市場では好調な決算シーズンも終わり、今後はトランプ政権が目指す税制改革の行方に関心が向かっている。8日には、ライアン米下院議長が法人減税の実施を2018年から2019年に先延ばしする可能性があるとの発言が報じられた。議会通過に必要な法案一本化に向けた両院の調整難航が懸念されている。
国内の焦点
テクニカル面では、1989年末の過去最高値38,915円から2008年3/10に付けたバブル崩壊後の安値7,054円に対する半値戻し水準22,985円を一気に抜いてきた。又、1990年以降、2万円付近で戻りを打ち返されていたが、1996年高値22,666円をも明確に上抜けてきたことで、新たな上昇相場が始まったと裏づけられる。
NT倍率が拡大している。10/2現在NT倍率は12.18倍であったが11/7には12.64倍に広がっている。裁定取引を交えた日経平均の急騰と合わせて、米系大手証券のTOPIX先物買いが注目される。これまで同社は北朝鮮リスクをきっかけに、10月初旬には8万枚から4万枚程度にポジションを落としていたが、衆院選で与党優勢が伝えられて以降一気にポジションを高め、約7.7万枚に拡大してきた。これまでの経緯からは8万枚に膨らむと様子見姿勢に転じている。足元の相場は高値圏にあるだけに、今後も買い増すのか売り転換するのか、その動向は注視しておきたい。
来週の株式相場
以上、来週は世界的な株高傾向が続いている中で、国内景気の回復基調や良好な企業業績を背景に新たな上昇相場の上値余地を探る展開と捉えている。ただ、目先は急騰後のスピード調整は考慮しておきたい。日経平均のレンジは、上値は節目の23,000円が目処となり、下値は11/2安値22,400円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト