パチンコ離れは業界に深刻な影響を与えている。帝国データバンクが11月21日に発表した「パチンコ・パチスロ関連業者の経営実態調査」によると、パチンコホール経営業者や卸業者、メーカーといった関連業種の2016年度の売上高は前年度から大きく減少している事が明らかとなった。参加人口がピークの3分の1近くまで減少しているパチンコ業界は業績面でも厳しい状況にあるようだ。
ホール経営業者は2年連続の減収に
調査は帝国データバンクの企業概要ファイルから3期連続で業績が判明しているパチンコ関連業者を抽出し、パチンコホール経営業者(2353社)、パチンコ・パチスロ機卸業者(412社)、パチンコ・パチスロ機メーカー(20社)に分類して各業態の売上高合計を分析している。
パチンコホール経営業者の2016年度の売上高合計は19兆5435億円となっており、前年度比5.2%の減少となった。減少は2年連続となっており、減少幅は2015年度の前年度比3.4%減から拡大している。各企業の増減収の割合を見ても、増収企業は2015年度の287社から2016年度には203社へ減少した。減収企業こそ、前年度の1331社から1216社へ減少しているものの、その比率は全体の51.7%と過半数を超えている。2015年度と2016年度の2年連続で増収となった企業は71社と全体の3.0%に対し、2年連続で減収となった企業は882社と全体の37.5%を占めた。
パチンコホール経営業者の業績は非常に厳しくなっている。日本生産性本部の発行する「レジャー白書2017」によると、参加人口は1996年の2760万人から2016年には940万人になっている。ピーク時には3000万人に迫った参加人口はその3分の1の規模にまで減少した。参加人口の減少がパチンコホール経営業者の業績へ大きな影響を与えていると見られる。
パチンコ・パチスロ機卸業者は前年度の増収から一転、2ケタ減収に
パチンコ・パチスロ機卸業者の2016年度の売上高合計は7523億円となっており、前年度比12.5%の減少となった。2015年度は前年度比2.4%の増収となっていたが、一転して2ケタ減収へ転落した。増収企業も2015年度の152社から2016年度には141社へ減少している。
前年度の増収から一転して2ケタ減収となったパチンコ・パチスロ機卸業者であるが、2015年度の増収は人気機種を扱う大手メーカー系の販売業者数社が増収となった事が要因にある。2016年度は2016年12月末には旧基準パチンコ機種の撤去期限を迎えた事により、中古台の流通が大きく減少した事が大幅減収につながったと見られる。
パチンコ・パチスロ機メーカーも2ケタ減収
パチンコ・パチスロ機メーカーの業績も厳しいものとなっている。2016年度の売上高合計は1兆151億円となっており、前年度比14.2%の減少となった。2015年度は前年度比0.1%の増収とほぼ横ばいの推移であったが、2016年度は卸業者同様、2ケタを超える大幅減収に見舞われている。増収企業も2015年度の9社から2016年度には8社へと1社の減少となっている。
2016年度は翌年度を目処に計画されていた新基準導入を見越し、パチンコホールが買い控えを行った影響が大きく、大幅減収となった。また、パチンコホール経営業者の経営状況の悪化も新台への投資が控えられた要因であると見られる。
パチンコ関連業者の2016年度の売上高は、パチンコホール経営業者からメーカーに至るまで、全ての業態で減収となっている。2016年度は旧基準パチンコ機種の撤去期限や新基準導入を見越した買い控えといった特殊要因も重なった。2017年度は2018年2月の出玉制限の強化に伴う新台導入等による反動増も期待されている。ただ、参加人口の減少やギャンブル依存症対策に伴う射幸性低下といったパチンコ業界を取り巻く大きな流れは変わっていない。こうした根本的な問題の解決が出来なければ、減収基調を止める事は難しいだろう。(ZUU online編集部)