「佐賀といえば?」と聞かれたとき、あなたは何を思い浮かべますか?

佐賀は九州の中でも突出したものが少なく、2017年のブランド総合研究所による魅力度都道府県ランキングでは47都道府県中45位という結果でした。

そんな佐賀が、県全体の知名度を上げるために着目したもの、それは「方言」です。他県民には理解されない「佐賀弁あるある」や、公開されるや否や話題となった「佐賀弁ラジオ体操」を紹介します。

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(写真=PIXTA)

「がばい」の意味を改めて考える

まずは佐賀弁の代表のようにもなっている、2006年に大ヒットした映画「佐賀のがばいばあちゃん」。このタイトルについて考えてみましょう。人気を博したこの映画のタイトルの一部である「がばい」は、翌年の流行語大賞にもノミネートされ、日本全国に浸透した佐賀弁の一つです。

しかし、この「がばいばあちゃん」というネーミングに納得がいかない佐賀県民も多いことをご存じでしょうか。映画のタイトルでは「佐賀の『すごい』おばあちゃん」という意味で使用されていますが、そもそもがばいとは「とても」という意味の副詞です。

つまり、このタイトルでは「佐賀の『とても』おばあちゃん」という意味になってしまい、本来の佐賀弁にはそぐわないのです。正しい佐賀弁に直すのであれば、「佐賀の『がばいすごか』ばあちゃん」になります。細かいことですが、この映画のタイトルを気にしてしまうのも佐賀県民から見た「佐賀弁あるある」の一つです。

思わず聞き返してしまう佐賀弁あるある

ここからは、思わず「あるある!」と言ってしまいそうな、佐賀県民にとっては馴染み深く他県民にはわからない、「本場の佐賀弁」を紹介します。

・ なんばしよっと? 博多弁では「なんしよーと?」、標準語では「何をしているの?」という意味の佐賀弁です。佐賀弁はとにかく促音、つまり小さい「っ」が多く、同じ九州の博多地区と比べても言葉に勢いを感じます。この独特の促音と言い回しは「女性が言うとかわいい」とのことで、他県民の男性に大人気なのだそう。

・ ぬっか 標準語では「暑い」または「熱い」を意味する佐賀弁です。「暑いですね」を佐賀県民が言うと「ぬっかたなー」となります。他県民には通用しない佐賀弁の一つです。

・ はらかく 佐賀県民は怒ると「はらかいた!」と言いますが、これの元となる佐賀弁は「はらかく」。すぐ怒る人は「はらかきべっとー」と呼ばれます。

文字にするととてもかわいらしく、本当に怒っているのか疑問に感じます。しかし佐賀弁は他県民から「怒っていなくても怒っているように聞こえる」と、ある意味評判の方言ですから、これを本場の佐賀県民が言うととても迫力があります。

県をあげての猛プッシュ「佐賀弁ラジオ体操第一」

このように、他県民には難解な佐賀弁。しかし、その珍しさを逆手に取る、県のPRが生まれました。それが2017年3月に発表された「佐賀弁ラジオ体操第一」です。

強烈な印象の佐賀弁による掛け声から始まり、字幕がなければ外国語に聞こえてしまうような内容となっています。さらに動画の1分30秒ごろから佐賀弁の激しさが増し、他県民には理解するのが難しいでしょう。

しかしこれが「面白い!」と全国的に大ヒットし、狙い通りに佐賀の知名度を上げる結果となりました。この反響を受けて2017年10月には「佐賀弁ラジオ体操第二」が公開されたのですが、こちらのコンセプトは「360度見えるラジオ体操」。世界文化遺産である「三重津海軍所跡」で特殊カメラを用いて撮影されたこの動画は、再生中に見る角度を自由に変えることができる仕組みです。佐賀弁だけではなくラジオ体操もしっかり楽しめるよう作成されています。

ただし字幕が小さめなためか、より佐賀弁の難易度は上がります。佐賀弁ラジオ体操第二の登場により、「聞いているだけで楽しい!」と、再び話題になる日も近そうです。

(提供:JIMOTOZINE)