2016年、スポンサーシップに最も投資した企業の調査から、大手企業からの支出が大幅に減ったことなどが分かった。

トップ3はペプシコ、アンハイザー・ブッシュ・インベブ、ザ・コカ・コーラ カンパニーと、飲料会社が独占しており、3社による支出額は合計10億ドル近いものの、いずれも前年から各500〜1000万ドル減らしている。

自動車部門からはフォードモーターやトヨタ・モーター・セールス米国、銀行部門からはバンカメ、シティグループ、JPモルガン・チェース、テクノロジー部門からはMicrosoft、SAP、サムスン電子などがトップに輝いた。

スポンサーシップへの支出が大きい企業トップ25

広告,スポンサー,ランキング
(画像=Thinkstock/Getty Images)

まずは総合ランキングで上位25社を見てみよう。ランキングの対象となったのは昨年スポンサーシップに1500万ドル以上投資した米国企業106社で、4大トップスポンサー・セクター、自動車、銀行、飲料、テレコムを含む20セクターだ。

調査はスポーツスポンサー・サービス企業ESPプロパティーズが実施した。

21位 Tモバイル 5000万〜5500万ドル
21位 マクドナルド 5000万〜5500万ドル
21位 ドクターペッパー・スナップル・グループ 5000万〜5500万ドル
21位 ブリヂストン米国 5000万〜5500万ドル
21位 アメリカン・エキスプレス 5000万〜5500万ドル

20位 オールステート保険 6500万〜7000万ドル
18位 アンダーアーマー 7000万〜7500万ドル
18位 シティグループ 7000万〜7500万ドル
15位 プロクター・アンド・ギャンブル 7500万〜8000万ドル
15位 バークシャー・ハサウェイ 7500万〜8000万ドル
15位 バンク・オブ・アメリカ 7500万〜8000万ドル
14位 現代自動車(ヒョンデ/Hyundai)8500万〜9000万ドル
13位 Microsoft 9000万〜9500万ドル
12位 フェデックス 9500万〜1.0億ドル
11位 ミラークアーズ 1.20億〜1.25億ドル

10位 ゼネラルモーターズ 1.45億〜1.50億ドル
9位 ベライゾン・コミュニケーションズ 1.55億ドル〜1.60億ドル
8位 トヨタ・モーター・セールス米国 1.65億〜1.70億ドル
7位 フォードモーター 1.75億〜1.80億ドル
5位 AT&T 1.95億〜2.0億ドル
5位 アディダス北米 1.95億〜2.0億ドル
4位 ナイキ 2.6億〜2.65億ドル
3位 ザ・コカ・コーラ カンパニー 2.65億〜2.7億ドル
2位 アンハイザー・ブッシュ・インベブ 3.5億〜3.55億ドル
1位 ペプシコ 3.6億〜3.65億ドル

自動車メーカー部門トップ10

自動車部門トップは前年からスポンサー予算を2000万ドル増やしたフォードモーターで、1.75億〜1.8億ドルを投資。トヨタとともに、総合ランキングでもトップ10入りを果たした。

11社中、5社の予算に変動がなく、トヨタ、ゼネラルモーターズ、FCAの3社が縮小、日産、現代自動車、フォードモーターの3社が拡大した。

10位 フォルクスワーゲン 2000万〜2500万ドル
10位 FCA US LLC 2000万〜2500万ドル
9位 BMW北米 2500万〜3000万ドル
7位 日産 3500万〜4000万ドル
7位 起亜自動車(キア/Kia)米国 3500万〜4000万ドル
6位 アメリカホンダ自動車  4000万〜4500万ドル
5位 メルセデス・ベンツ米国 5500万〜6000万ドル
4位 現代自動車(ヒョンデ/Hyundai)8500万〜9000万ドル
3位 ゼネラルモーターズ 1.45億〜1.50億ドル
2位 トヨタ・モーター・セールス米国 1.65億〜1.70億ドル
1位 フォードモーター 1.75億〜1.8億ドル

銀行部門トップ9

銀行部門からは9行がランクイン。スポンサー予算を拡大したのはバークレイズ銀行とUSバンコープの2行のみ。バンカメ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ は各500万ドルほど縮小した。BBVA、JPモルガン・チェース、PNC フィナンシャル・サービシズ・グループ、キャピタル・ワン・フィナンシャルの予算額は変動なし。

9位 ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)1500万〜2000万ドル
8位 USバンコープ 2000万〜3500万ドル
7位 PNC フィナンシャル・サービシズ・グループ 2500万〜3000万ドル
6位 バークレイズ銀行 3500万〜4000万ドル
5位 ウェルズ・ファーゴ 4000 万〜4500万ドル
4位 キャピタル・ワン・フィナンシャル 5500万〜6000万ドル
3位 JPモルガン・チェース 6000万〜6500万ドル
2位 シティグループ 7000万〜7500万ドル
1位 バンク・オブ・アメリカ 7500万〜8000万ドル

クレジットカード部門でランクインしたのはアメリカン・エクスプレス(5000万〜5500万ドル)、マスターカード(4500万〜5000万ドル)、VISA(4000万〜4500万ドル)。3社ともに予算を削減している。

ビジネスおよび消費者テクノロジー部門トップ8

予算が増えたのはMicrosoftとデル・テクノロジーズの2社のみで、SONY、SAP、サムスン電子は平均500万ドルの縮小。そのほかは変動なしだ。

8位 LGグループ 1500万〜2000万ドル
8位 SONY米国 1500万〜2000万ドル
7位 IBM 2000万〜2500万ドル
5位 デル・テクノロジーズ 2500万〜3000万ドル
5位 オラクル 2500万〜3000万ドル
4位 ボーズ 3000万〜3500万ドル
2位 サムスン電子米国 4000万〜4500万ドル
2位 SAP米国 4000万〜4500万ドル
1位 Microsoft 9000万〜9500万ドル

北米でのスポンサーシップ支出は縮小 前年から15社減

年々拡大傾向にあったスポンサーシップ支出は、ここに来て冷え込みを見せている。

前述した通り、このランキングでは前年1500万ドル以上をスポンサーシップに投じた企業が対象となるが、2016年に新たにランキングに加わった企業はなし。それどころか15社が圏外落ちし、合計121社から106社へと減った 。21社がランキングに加わった2015年とは対象的だ。

前回のランキング発表直後には好調な伸びが期待されていただけに 、予期せぬ縮小ということになる。予想では2016年の成長率は4.3%と、過去数年で最高水準(2015年比0.2ポイント増、2014年比0.1ポイント増)を記録するはずだった。しかしこうした低迷が青天の霹靂ではなかったことも事実だ。2017年には2015年の水準に逆戻りすると予想されていたため、失速が少し早めに訪れたといったところだろうか。

売上低迷を理由に、大手スポンサーからの支出が減少

2015年から2016年にかけてスポンサーシップへの支出を増やした企業は、全体の18%相当(19社)のみ。29%(31社)が支出を減らし、53%(56社)が現状維持で様子見に徹した。

特に飲料企業はトップ3のほかハイネケングループやディアジオ(Diageo)北米、レッドブル(Red Bull)北米など全9社が、こぞって支出を控えた。

売上の頭打ちで大手スポンサーが支出を控える方向に傾いたこと、米ドルの変動など、失速の理由は複数考えられる。

また米国最大のモーターレース「ナスカー(NASCAR)」へのスポンサーシップが著しく縮小したことも、マイナス成長に影響をあたえた。2012年頃から人気の陰りが 報じられていたが、2016年はクラフト・ハインツやアーロンズなどの大手6社が、ナスカーへのスポンサーシップを減額あるいは取りやめている。 中でもトヨタは3000万ドルもの大幅削減を実施した。

世界最大の民間IT企業誕生など、ポジティブな流れも

一方、組織的成長にはポジティブな要素も見られる。デルとEMCグループの合併が2016年9月に完了し、世界最大の民間IT企業、デル・テクノロジーズとして新たな出発を切った。デルは2015年10月に、EMCを670億ドル(1株当たり33.55ドル)で買収。この統合により、EMCグループの傘下にあったヴイエムウェア(VMWare)やバーチャストリーム(Virtustream)も、デル・テクノロジーズに吸収された。

2015年は88位だったEMCグループは、新生デル・テクノロジーズで総合ランキング58位と大きく順位を上げた。

マリオット・インターナショナルもスターウッド・ホテル&リゾートの買収が功を成し、68位から43位に。2016年9月に買収が完了し、世界最大規模のホテル企業となった。

全米プロバスケットボールリーグNBAと4億ドルのスポンサーシップを結んだ大手電気通信企業ベライゾン・コミュニケーションズは、ワンランクアップ(USA TODAYより )。アンダーアーマーも21位から18位に跳躍した。

NBA、オリンピックなど、スポーツ関連のスポンサーシップが人気

スポンサー先として人気が高いのはスポーツ関連だ。特にNBAは広告の最高峰といえるだろう。2016〜2017年にかけてのスポンサー企業 はベライゾン・コミュニケーションズのほか、アンハイザー・ブッシュ、アディダス、アメリカン・エキスプレス、BBVA、マウンテンデュー、アンダーアーマーと国際大手が目白押し。

今シーズンで10年目のNBAスポンサーとなる韓国の起亜自動車(Kia)を始め、オートトレーダー(AutoTrader)やクムホタイヤ(Kumoho Tire)など、自動車関連もスポンサーに名乗りを上げている。

楽天が今年9月、NBAチーム「NBAウォリアーズ」とスポンサー契約を結んだことでも話題になった。日本企業初のNBAスポンサーだ。

オリンピックも大人気である 。パナソニック、サムスン、インテル、ゼネラル・エレクトリックなどIT系からトヨタやブリヂストン、ザ・コカ・コーラ カンパニー、VISA、P&G、オメガ、アリババ・グループまで、幅広い産業から注目を集めている。

主要スポンサー探しに苦戦するマクラーレンなど、F1は波あり

かつて人気のスポンサー先だったF1レースは、主要スポンサーの獲得に苦戦気味だ。 マクラーレンF1は今年9月にホンダとの提携解消し、ルノーのパワーユニットを搭載すると発表した。現時点ではNTTコミュニケーションズ、ロジクール、ボルボ、ケンウッド、ジョニーウォーカー、ヒルトン、CNN放送などと提携関係を結んでいるが 、2013年にボーダフォンとの契約が打ち切りになって以来、主要スポンサー不在の状態だ(モータースポーツ より)。 2018年に向けブラジルの石油企業ペトロブラスが候補に挙がっているが、詳細は明らかになっていない。ペトロブラスは昨年まで英国のF1レーシングチーム、ウィリアムズ・グランプリ・エンジニアリングとスポンサー契約を結んでいた。

フェラーリとサンタンデール銀行の契約打ち切りも報じられている。サンタンデール銀行はスペイン出身のF1ドライバー、フェルナンド・アロンソ氏がチームに参加したのを機に、過去7年間でフェラーリに総額2.8億ユーロを投じてきた。

しかしアロンソ氏が2014年に移籍したことに加え、スポンサー投資の関心が自国のフットボールリーグや南米のフットボールリーグ「コパ・リベルタドーレス」に移行したことが、今回の打ち切りの原因のようだ(ガーディアン紙より )。

一方、レッドブル・レーシングは主要スポンサーにアストンマーティンを獲得 している。

若い層にアピールするスポンサーシップが得意なペプシコ、コカ・コーラ

首位のペプシコは今年から欧州サッカー連盟のスポンサーに。ペプシコといえば1984年、故マイケル・ジャクソンとのスポンサー契約で話題を呼んだが、その後もブリトニース・ピアーズ、ビヨンセ、クリスティーナ・アギレラ、ニッキー・ミナージュなど、世界的に人気の高いミュージシャンと次々に広告契約。若い層にアピールする手段として、スポンサーシップを有効に用いている。

コカ・コーラはナスカーを筆頭に、NBA、NCAA(全米大学体育協会)、オリンピックなど、スポーツ色の濃いスポンサーシップ活動を基盤としてきた 。

興味深いのは「不健康な飲料メーカー」のイメージが定着していたペプシコやコカ・コーラが、過去数年にわたり年間何百万ドルも投じて、医療・健康機関にスポンサーシップや寄付金を提供している点だ(Vovativ より)。

米国がん協会、米国糖尿病学会、米国疾病予防管理センター、米国国立衛生研究所、米国赤十字社、エイズウォーク(The AIDS Walk)、肥満ソサエティー(The Obesity Society)など、数え上げると切りがない。

近年はインターネットの普及により、GoogleやFacebookを利用したネット上のスポンサーシップ広告も活性化している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)