ビットコインやイーサリアムの跳躍が注目を浴びる中、数えきれないほどの仮想通貨やトークンが日々生まれている。仮想通貨情報サイト「コインマーケット・キャップ(Coin Market Cap)」のランキングだけでも常に1000種類以上が掲載されており、新鮮味を感じると同時に「どれを選べばよいか迷ってしまう」というのが投資家の本音ではないだろうか。

2017年12月1日の時点で同サイトに掲載されている、仮想通貨・トークン1318種類の時価総額合計は2934億ドルにもおよぶ。

ダッシュ、カルダノ・エイダなどすでに市場を騒がせているものから、イエロートークンやアイオンといった新星、そして「利用用途のないトークン」で巨額の資金を調達したEOSまで、注目の仮想通貨・トークンを紹介しよう。

時価総額や価格は、コインマーケット・キャップのデータ(2017年12月1日)を参照にしている。

ダッシュ——独自のインセンティブP2Pと二層式のネットワー ク

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(画像=Thinkstock/Getty Images)

2013年設立されたオープンソース・プロジェクト「ダッシュ(Dash)」 を通し、2014年から発行している仮想通貨(トークンシンボル、DASH)。ビットコインやイーサリアムとともに、今年に入り価格が急騰している仮想通貨の一つである。

全世界で何千万人という利用者が支援するオープンソース決済プラットフォームを通し、「安全で迅速、おばあさんでも使えるデジタル決済」の実現を目指している。

ビットコインのソフトをベース にしているが、独自のインセンティブP2Pで構成されている点が特徴だ。マイナー(採掘者)はブロックチェーンの保守から報酬を受け取り、マスターノードの所有者は取引検証やデータ保存、サービス提供で報酬を受け取る。

ノードはP2Pネットワークの接続ポイント的役割を果たしているが、マスターノードはその接続ポイントの心臓部となる。

ダッシュは通常のノードとマスターノードから成る二層式のネットワー クを採用することで、匿名送金(PrivateSend)、即時送金(InstantSend)、分散型ガバナンス(Decentralised Governance)、分散型決済プロセス「ダッシュ・エボリューション(Dash Evolution)」など、安全で迅速、かつ匿名性の高いデジタル決済を実現している。

送金に一層式のネットワークを採用しているビットコインと比べると、分かりやすい。ビットコイン決済は通常10分ほどの時間を要し、全取引履歴が公開される。マイニングもごく少数のマイナーに独占される傾向が強い。

ダッシュ決済は即完了するほか、匿名性を高める目的で取引履歴を直接公開していない。またマスターノードにガバナンスの役割をあたえ、ネットワーク内でインセンティブを循環させているため、独占権の集中化防止も期待できる。毎日24時間、世界中から利用可能という点も嬉しい(ダッシュマスターノードより )。

現時点(2017年12月1日)の価格は737.97ドル、時価総額は58.3億ドル。昨年末までは100ドルにも満たなかったが、今年2月頃から価格の上昇が始まり、11月に200ドル台を突破。一気に700ドル台に達した。

カルダノ・エイダ——ゲームユーザーに公平なゲーム環境を提供

ブロックチェーン・スタートアップIO(インプット・アウトプット)HKが発行する仮想通貨。「カルダノコイン(Cardano Coin)」あるいは「エイダコイン(ADA Coin)」と呼ばれているが、正式には仮想通貨ベースのゲームプラットフォーム「カルダノ」で利用できるエイダコインを指す。

カルダノ自体はIOHKが開発した「科学哲学から生まれた世界初のオープンソース・ブロックチェ ーン・プラットフォー?」である 。オンラインゲームやオンラインカジノで横行する不正プログラミングに立ち向かうべく、ゲームユーザーに公平なゲーム環境を提供するために生まれた。

中心となって2015年にIOHKを立ち上げたのは、イーサリアムの初期創設者兼ビットコイン・ファウンデーションのCEOチャールズ・ホスキン氏や同じくイーサリアムでオペレーションを担当していたジェレミー・ウッド氏だ。

カルダノを通し、エイダコインやビットコイン、イーサリアムなどにも使えるウォレット「ダイタロス(Daedalous)」や、複雑で高度な契約をブロックチェーン上に記録するスマートコントラクト「プル—タス(Plutus)」が利用できる。

昨年の公開予定が大幅にずれ込み、今年10月にBittrexに上場したばかりだが、価格はすでに高騰。11月下旬に3セント代に突入し、29日には13セントに達した 。

ルーメンコイン——元マウントゴックス設立者が開発 

2014年に破たんしたビットコイン交換所、マウントゴックス(MTGOX)の設立者、ジェド・マケーレブ氏や、リップル(Ripple)の開発メンバーだったジェド・マケーレブ氏が手掛けるステラ(Stellar Lumens)が発行する仮想通貨。

「ステラコイン」と呼ばれることも多いようだが、正式には「ルーメン(Lumens/XLM)」 という名称だ。

ステラはリップルのリップルのコンセンサスとよく似たプロトコルSCPを採用しているが、リップルが金融機関など法人向けの決済システムであるのに対し、ステラは個人間の決済に専念している。

またリップルでは発行数の上限が1000億枚に設定されているが、ステラは毎年1%づつ追加発行される。 ステラコインの量を増やすことで価格変動を抑制する意図だ。

比較的価格変動が激しく、2017年だけでも5月に5セントを超えるものの、9月には1セント前後に下落。現在8セントまで再騰 している。時価総額は14.2億ドル。

アイオン——スケーラビリティ問題を解決?第3世代ブロックチェーンベース

トロントを拠点とするヌーコ(Nuco)が発行する仮想通貨アイオン(Aion/AION)は、同社が開発した「第3世代ブロックチェーン・ネットワーク」を基盤にしている。

「アイオン・ネットワーク」 は既存のブロックチェーンが抱えるスケーラビリティ問題、安全性、相互運用性に取り組む目的で開発された、複数の層から成るブロックチェーン・システムだ。具体的には複数のブロックチェーンを相互に連携して作動させることで、情報交換が可能なブロックチェーン・システムを構築するというもの。

ヌーコを立ち上げたのは、デロイトカナダでブロックチェーン・プロジェクトのリーダーを務めたマシュー・スポーク氏だ。

トークンシンボルはAION。11月上旬は1セントにも満たなかったにも関わらず、ICOを実施した下旬には初の2ドル超えを果たしている。ICOでは2300万ドルを超える資金調達に成功した。

デシジョン——未来のブロックチェーン投票システムで利用

デシジョン (Decision/HST)は、ホライゾン・ステート(Horizon State)が発行するトークンだ。

投票決定や意思決定プロセスの向上を目的とするブロックチェーン・プラットフォームを提供しており、トークンはこのプラットフォーム上で利用できる。

改ざんが不可能で安全性、信頼性の高いブロックチェーン投票システムとして評価が高く、すでに政府から大手企業、自治体、教育施設などで採用されている。

価格は12〜35セント前後 を行き来するなど安定していないものの、フォーブス誌やハフポスト、インベストピアといった国際メディアにも取り上げられている。 時価総額は1251万ドル。過去24時間の取引量は64.58%増。

エクゼクティブチーム はオーストラリアの大手賭博企業タッツグループ(Tatts Group)の元ディレクター、ジェイミー・スケラ氏や、オーストラリア証券取引所トップ100企業のCOOを務めたダン・クレーン氏のほか、スマートコントラクト開発者、ITコンサルティング・エクゼクティブ、凄腕起業家などで構成されている。

イエロートークン——コミュニティー主導型トークン

「世界初、コミュニティー主導のトークン」が謳い文句のイエロートークン (Yellow Token/ YEL)は、標準的なイーサリアム「ERC-20」対応で、迅速、低コストな取引の実現を目指している。

「トークンに関するあらゆる決定はコミュニティーを通して行われれ、トークンの所有率が発言権や影響力を左右することがない。

「仮想通貨のルーツにもどる」をコンセプトとし、「コミュニティーとともに歩んでいけるトークン」という点を強調している。

現時点では0.6セントに落ち着いているが、11月初旬には一時的に4セントに達っしており、過去24時間の取引量は351.76%増。2100万枚のトークンが発行されている。

ケイジコイン——24時間で取引量が31000%増えたミステリアスなコイン

着実に知名度を上げているケイジコイン (Cage Coin/CAGE)は、「俳優のニコラス・ケイジ氏に閃きを受けた」という独創的な仮想通貨である。

極端に情報が少なく、ウェブサイトからも本気か遊びか判断しかねる印象を受けるものの、2月には24時間で取引量が31000%に増えて仮想通貨ランキングのトップ10入りを果たすなど、欧米の仮想通貨市場ではなにかと話題になっている。過去24時間でも1000%近い増加量だ。

スクリプト(Scrypt)・アルゴリズムを実装している点が、ビットコインなどと異なる。取引処理時間は1分。発行数の上限は1000億枚に設定されている。時価総額は304万ドル。

EOS ICO史上最大の資金を調達したが……?

発行元のEOSはケイマン諸島を拠点とするスタートアップ、ブロックワン(Block.one )。主にビジネス向けブロックチェーン設計ソフトウェア「EOS .IO」を開発しており、今年7月にICOで1.86億ドルというICO史上最大の資金調達 に成功した。

しかしその後「トークンには何の権利もなく、用途、機能、目的もない」とホワイトペーパーに記述されていたことなどが発覚し、一気に投資家を混乱におとしいれた(クリプトカレンシー・ニュースより )。

「ICOバブルが招いた不覚の典型例」という見方が強い反面、意外なことに一時は50セント前後まで落ち込んでいた価格がじわじわと再浮上し、現在は3ドル前後まで回復している。

EOS自体は大手企業に採用されるという想定で開発された「分散型アプリケーション向けの最もパワフルなプラットフォーム」だ。トークンは標準的なイーサリアム「ERC-20」に対応している。

EOSトークンの例が示すように、仮想通貨市場が加熱すればするほど、仮想通貨・トークンの入手に注意を払う必要性が強まる。今回紹介したものも、決して価格の上昇や将来の展望を保証するわけではない。

トークン発行の意図や発行元の情報を、ホワイトペーパーやウWebェブサイト、評判などで念入りに調べ、利点とともにリスクも十分に把握しておくべきだ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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