ものづくりをするメーカーは、設備投資を行うなどして生産性をアップしていかなければ、激しい競争に勝ち残ることはできません。何もしなければ、設備が劣化していくのに伴って生産性が低下していき、競争力が落ち込んでしまいます。

しかし、中小メーカーは、設備投資のための資金を簡単に調達することができません。そこで活用できるのが、中小企業庁が行っている「ものづくり補助金」です。

ものづくり補助金とは

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(写真=Ditty_about_summer/Shutterstock.com)

ものづくり補助金は、正式には「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」という名前です。中小企業庁が「経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等を支援」するものです。

日本国内に本社・開発拠点がある中小企業者に限られます。なお、中小企業にあてはまるかは資本金と従業員数によって決まりますが、業種によってその基準が異なります。

補助金はどのような投資を行うかで「一般型」「小規模型」「第4次産業革命型」の3種類に分けられ、補助内容は下記の表のようになっています。

一般型 小規模型 第4次産業革命型
補助上限額 1,000万円 500万円 3,000万円
補助率 2/3以内
設備投資の要否 必要 可能
※試作開発の場合は必須ではない
必要
対象経費 機械装置費
技術導入費 等
機械装置費
技術導入費 等
※試作開発では、原材料費、外注加工費等も対象
機械装置費
技術導入費 等
その他 雇用増・賃金の引き上げをした場合には、補助上限額の引き上げという優遇策が受けられる IoT・AI・ロボットを用いた設備投資を行う場合が対象

補助金獲得のためのポイント

● 補助金を受けられる事業は、1/3程度しかない
ものづくり補助金は、条件を満たしていれば受けられるというものではありません。毎年、予算が決まっており、その範囲内で補助を受けられる事業が採択されます。これまでの実績では、申請された事業のうち採択されたのは30~40%程度しかありません。そのため、より確実に補助金が受けられるよう、事前にしっかりと準備しておく必要があると言えます。

● 革新性・実現性がある事業かどうかをアピールする
ものづくり補助金は、正式名称にもある通り「革新的な事業」が採択されます。そして、中小企業の経営支援を行うためのものであるため、革新的とは言っても夢のような話ではなく、実現可能性が高い事業でなければなりません。つまり、申請時に「革新的でかつ、実現性があること」をアピールするのが、補助金を受けるための重要なポイントだということになります。

革新性をアピールするためには、申請しようとする事業の置かれた環境をしっかりと把握できていなければなりません。その事業の競合プレーヤーやユーザーを分析し、その結果として考えられた「今までにない製品・サービス」であることを表現しましょう。

実現性については、設備投資によってどれくらい生産性が向上して、競争力が増して売上・利益が上昇する予測であるかを具体的かつ明確に書きましょう。「設備投資することによって生産性が〇%上昇し、コストダウンによって○○万円収益がアップする」、「革新的な商品であるため、競合他社の商品よりも高い金額での販売が可能となり、○○万円の収益増が見込める」など、数値も使って定量的に説明することが大切です。

このような革新性や実現性があるかどうかを明確に説明できるということは、「現状の経営状態や事業環境をしっかりと理解し、その中で勝ち残れる戦略を立てられること」と同じです。

中小企業庁は、しっかりとしたストーリーをもって成長できそうな中小企業者を支援しようとしています。それができる中小企業者だということを伝えられる申請内容であれば、採択される可能性が大幅にアップするでしょう。

書式の記入ミスには要注意

ものづくり補助金は、申請期間内に書類が提出できなければ受け付けてもらえません。そのため、期限ギリギリになって記入ミスをしてしまわないよう、早いうちからじっくりと準備しておくことをおすすめします。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)